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騒ぐな、若造 - アジアカップ・シンガポール - 2004年08月09日(月)

さてさて、アジアカップも終わり、俺は燃え尽きて真っ白な灰になった
わけです(ウソ)。

そんな中、アセアン諸国はどうみてたんだろー、と思い、色々記事を
探してみましたが、やっぱりロイターとかAFP発のニュースばかりで、
独自の記者の意見というのはあまり見当たりません。

んでもシンガポールは結構頑張っており、試合前日の様子を北京から
流したりしてました。

ちなみに、シンガポールでの中国ファンと日本ファン、みたいな記事も
ありましたが「身内だけで盛りあがるッス」風で、あんまりシンガポール
全体では盛り上がってない感じでした。


そんな中、シンガポール・サッカー記者の重鎮(多分)の方の
決勝戦に向けた記事を見つけたので、翻訳します。


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■舌戦はそれほど意味がない
War of words means so little


政治問題と抗議活動はさておき、中国対日本戦はつまらない可能性も
- Politics and protests aside, China v Japan final risks being a drab affair

by ジェフリー・ロウ記者 2004/08/07



政治問題、抗議活動、平和運動…全てはピッチ外から起こっている。

もし、今日の夜の決勝戦が実際につまらないものになってしまったら、
どうするのか?誰が責められるのか?政治家だろうか?


そんなことはない。


試合は選手、監督、審判というピッチ上の人々に直接行われる。
それはまさにゲームの主役によるものだ。



さて、私たちが今夜行われるアジアカップ決勝戦、ホスト国・中国と、
激戦を勝ち抜いてきた日本との試合に対して、心構えをしたとしよう。

仮に地獄のような出来事がピッチ上で行われるような想像をして
いたとしても、政治上での衝突に比べて、それほど熱くない、膠着
した試合になるかもしれない。


私たち自身を考えてみよう。


「ホームにやってくるチームに対して、スタジアムの観客の
 呪いは、本当に大したモノなのか?」


我々シンガポール人も、マレーシアの州チームがやってくるたびに、
ハッキリした理由なしに、彼らの父や母のことを言葉で攻撃し、
相手チームをビクビクさせるような、そんなような歌をかつて
カラン(※シンガポール国立競技場)で、聞いていただろう。


もちろん、シンガポールチームがコウズウェイ(※国境)を渡って
マレーシアに行っても、同じような扱いを受けたものだった。

だがそれは、大したものなんかじゃない(No big deal.)。




現在、中国のファンは、日本の第2次世界大戦で彼らの祖父が行った
戦争犯罪を覚えているという。そして世界中がアジアの大会では
ピッタリだとばかりに、突然アジアカップ決勝の振る舞いに注目を
向けている。


結局、そのような報道は、すさまじい勢いで世界中に広がった。

この大会の決勝は、開幕以上にワールドワイドに注目を
集めることになった。




大会を組織するアジアサッカー連盟(AFC)は、アジアの国際大会が
世界的に注目されるような大会の決勝戦になるよう望んでいたことが
現実になったことに、こっそりと喜ぶべきだろう。



ユーロ2004とコパ・アメリカが終わり、ギリシャの爆発と
ブラジルの層の厚さに、世界はドキドキさせられたのもつかの間だが、
アジアカップが世界の注目を集めるチャンスはどんなものなのだろうか?


たとえるなら、アルゼンチンとイングランドが、フォークランド紛争を
背景にしたうえで、マラドーナによる驚くべき「神の手」ゴールが
生まれたような注目だろうか。


とは言っても、イングランドとアルゼンチン戦とのたった一つの
違い…といっても、これは大きな違いだが…。

それは、アジアカップにマラドーナが、今大会には居ない、
ということだ。



本大会開幕から今夜の決勝戦まで、日本にも中国にも、試合を
決定付けるような選手が存在していない。ワールドクラスの選手も
おらず、オーラを感じるような選手もいない。誰もがアジアの
マラドーナと認めるような、そんな選手がいないのだ。



中国は、準決勝でイランの守備を崩すことが出来なかったと
いうことが、その点を大きく証明している。

また、※PKで決勝に進出しなければならなかったという事実は、
決勝進出に値する実力を持っていたかどうかに疑問符がつく。


(※対イラン戦、イラン側が退場者を出し、10人だったにも
 かからず、PK戦までもつれこんだことを言っていると思います。
 多分。)


ベテランのハオ・ハイドンは膝、守備の要のリ・ウェイフェンが
肋骨に怪我をしているが、彼らが出場してもしなくても、芸術的な
サッカーは期待できないだろう。


だが、彼らには鋼(の魂or肉体)とスピードがあり、そして6万5千人の
中国人観客の叫び声は、北京工人スタジアムを、日本を洗脳する
強制収容所に変えることになりそうだ。



しかし、日本にとって、もし慰めになるようなことを探すとすれば、
それは決勝戦であろうと、これまでと何も変わらない、ということだ。

彼らは本大会のグループステージ以来ずっとこのような地獄のような
扱いを受けており、そして中田・稲本・小野のトライアングルなしに
生き残ってきた。


さらに日本は2度のビハインドから、10人の精神力で延長戦まで
戦い抜き、PK戦にもつれることなく決勝に進出した。



最後はどちらが勝つだろうか?

人々の力か?それとも精神力か?


それは読者の皆さん同様、私にもわからない。

http://straitstimes.asia1.com.sg/sports/story/0,4386,265630-1091915940,00.html?


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このジェフリー・ロウという記者は、そうとうのベテラン記者
のはずです。ロス五輪のときの日本−タイ戦も書いていましたし、
日本のサッカー本にも時々名前出てきます。



でも、やっぱしマレーシア−シンガポール間にも因縁があるとはいえ、
実際スタジアムじゃ、「バ〜カ、バ〜カ」な程度だったんだな、
やっぱり(笑)。



ブーイング問題とか以上に「この試合、つまらなくなるんじゃね?」
という方を憂いているトコに、第3国からみたクールな視点、っぽくて
カッコイイですね


そのクールさに輪をかけて、

「日本やら中国やら(アジアサッカー界での)若造たちが騒いどるワイ」

という、東・東南アジアで最古のサッカーの歴史を持つ、
シンガポール人の視点の匂いがしてステキです。


ま、妄想ですが。




にしても、マラドーナは居なかったけど「神の手」はありましたよ、
ジェフリーさん(笑)


(※今回ちょっと英語が厄介でした。多分誤訳あり)



...



 

 

 

 

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