昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、千葉の海近くの女子高二年。それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方、わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた・・目覚めたのは桜木真理子42歳。夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。私はいったいどうしてしまったのか。独りぼっちだ――でも、私は進む。心が体を歩ませる。顔をあげ、≪わたし≫を生きていく。もし自分が今高校生で、寝て目覚めたら子供がいて夫がいて「お母さん」と呼ばれたら・・。登場する娘と夫がとてもいい人たち。この家族3人のほのぼのとした雰囲気が好きです。