ビー玉日記
きのう  もくじ  あした

2005年07月14日(木)  昨日・今日・明日

「明日」(井上光晴・著 集英社文庫)を読んだ。
1945年8月8日の長崎の話。

登場人物たちの会話は全て長崎の言葉。
うちの母が佐世保出身で、
親戚のおばさんたちの話す言葉を聞いているので
(佐世保と長崎の言葉は多少違うけど)
頭の中は長崎の言葉でいっぱいになった。
そこで誰かに話しかけられたらたぶん
そのイントネーションで返したと思う。

「明日、十時半か十一時。そのつもりでくるから」

「明日の弁当は、天ぷらのありますけん」

知らず知らずのうちにしている、明日の約束。
漠然と、確実に誰もが、今日に続く明日があると信じている。
でも、その明日が、いつもの明日と違う日だったら。
翌日彼らの身に起こるであろうことを知っているだけに、
登場人物たちの口にする軽い約束にどきんとする。
そんな小説だった。


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