ビー玉日記
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2003年04月23日(水)  写生の授業

駅から会社まで、桜並木に沿って歩いていると、小学校の授業のことを思い出す。

毎年この時期の図工の時間は、教室を出て、外で写生をすることになっていた。
3年と4年は校庭、5年と6年は学校の前の桜並木の通りで、各自思い思いの場所で絵を描いた。
いつも仲良しの友達がいても、この時は自分のお気に入りの場所を見つけて散らばるので、近くに友達がいるとは限らない。
私はこういう作業に没頭すると、一人の世界に入ってしまう方なので、友達とおしゃべりしながら絵を描いていた記憶はない。

若い葉の明るい緑色、藪の中の深い緑色。
一本の木の幹を描くのに、茶色一色じゃ表現できないこと。
枝のうねり。
花壇を囲う石のデコボコ具合。

いろんな発見をしながら一枚の絵を、1ヶ月かけて描く。
見たものをどうやって表現すればいいのか頭を悩ませるのもまた楽しい。

まもなく創立100年になろうという学校の、7不思議のひとつである柳の木。
校門の手前で咲き乱れるピンクのつつじの花。
歩道橋の下に座って眺めた、遠くまでずっと続く桜の木のトンネル。

あの頃眺めて描いた風景は今でも強烈に脳裏に焼きついている。

時々、どこか遠くに行って一人で絵を描いていたいと思うことがある。
あの時のように。
ああいう時間は本当に贅沢で幸福だ。


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