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学歴偏重社会 - 2003年04月25日(金)

昨日、会社で"Good bye"と言う表題のメールがパキスタンから届いた。メールの主はザキと言うモビルスーツのような名前のエンジニアで、要は「会社を辞めます。今までありがとう」みたいなメールであった。

彼とは今回のプロジェクトで一緒になったのだが、正直言って特に頭の回転が速いわけでもないし、技術的に良く知っているわけでもないし、人の上に立って組織を統率するタイプでもない、言ってみれば可も無く不可も無い存在であった。何となく話しても反応が薄く、ハッキリ言って「ぼんやりしてる奴だな」と言うイメージが強かった。「ボルトとプレートの端空きは何処に載っているんだ」とか、こんなことも知らんのかこのおっさんは、と言う感じだった。

そのザキが、何と今年の春に昇進して、プロジェクトのリーダーをする職制上の位置についた。大した実績や実力があるわけでもない彼が、何事も無かったように出世しているのは何とも不可思議なことであるが、まあハッキリ言えばこの国、いや大多数の国で良く見られる理由で出世したわけである。

彼はイギリスの大学の大学院を出て、そこで修士号を取っている。

これ以外、彼の出世の理由は全く見当たらない。何しろ、彼と同年代で彼よりももっと熱心で、実績を残して会社の利益に貢献している社員は、未だに下のクラスにいる訳である。企業の利益に貢献しているタレントの方が低給に甘んじているのは、単に貢献度の高い社員より、ザキの学歴の方が高いからである。

日本も学歴社会学歴社会とある程度言われているが、ハッキリ言って海外の学歴偏重は日本の比ではない。何しろ、学歴が高い=才能があると言う、評価する側が何も考える必要のない単純な図式があるからだ。しかも欧米の大学を出ていれば、これはもう将来は全て約束されたようなものである。仕事のスピードが普通の人間の三分の一でも、普通の人間の3倍は確実に給料がもらえる(実際は3倍どころじゃないと思う)。

向こうの会社の部長に「この部の部員は優秀ですね」と言うと、まず言うのが「うちの部の部員は全員が大学を出て」から始まる。自己紹介でも「私は米国の大学院を出た後」から始まる。

で、このザキと言うエンジニアは、私の親しい向こうのエンジニアによると「恐らく海外に行くんでしょう」と言う返答が返って来た。「うちのマネジメントも、給料が高い方に行くと言われたらもう止めようが無いでしょうからね」と言っていた。まあザキに関しては私自身止めようが止めないがどっちでも良いという人間だったので、別に残念ではない。むしろ英国の大学で修士号取ったと言うだけで、あのぼんやりした利益に貢献しないエンジニアにさらに高給を払う会社があると言うのは驚きである。

まあ良く分からんがこれだからあの辺の国は中々優秀な人材が登用されず、金持ちで海外の大学に子供をやれる家の息子なりが「海外大学院修了」と言う学歴でどんどん社会でぼんやりのし上がって、またその子供が...

まあ何が言いたいかと言うと、これ以上ウチの会社のパキ子会社に「欧米(にあるだけで多分全然一流じゃない)の大学で修士号を取ってきたやんごとなきボンヤリエンジニアを入れないで」と言うことなんですけど。何かこっちまで夢と希望が無くなるのよね、貢献度の高いムダとかよりこんなのが給料もっと貰ってたりすると。

まあ貢献度の高い社員が出て行かないことを祈るが、こんな学歴で区別される世の中で、地元の工業大学出のエンジニアの需要は無いんだろうか。勿体ねえな。勿体ねえから優秀なエンジニアは全部こっちで引き取ります。学歴のあるエンジニアの欲しい方はまだ数人ご提供できます。部長も含めて。


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