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■ 琥珀捕り/キアラン・カーソン
『琥珀捕り』/キアラン・カーソン (著), Ciaran Carson (原著), 栩木 伸明 (翻訳) 単行本: 346 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: 東京創元社 ; ISBN: 4488016383 ; (2004/02) 出版社/著者からの内容紹介 ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡や望遠鏡などの光学器械と17世紀オランダの黄金時代をめぐるさまざまの蘊蓄、あるいは普遍言語や遠隔伝達、潜水艦や不眠症をめぐる歴代の奇人たちの夢想と現実──。数々のエピソードを語り直し、少しずらしてはぎあわせていく、ストーリーのサンプリング。伝統的なほら話の手法が生きる、あまりにもモダンな物語! 解説:柴田元幸
図書館に返却しなければならなかったので、キアラン・カーソンの 『琥珀捕り』 を一気に読んだ。とはいえ、アメリカ南部のハリケーンのことに気をとられていて、テレビでニュースをやらないかと気にしながらだったので、あまりはまれなかった。延長してもよかったのだが、あまり長引かせても・・・と、深く味わう暇もなく、慌しく読んでしまった。
柴田元幸氏も絶賛の本なのだが、たしかに通が好みそうだなという感じ。ふと気づくと、物語にはまって一心に読んでいたりするのだが、カーソンはもともと詩人だから、短い言葉を並べるのが得意なのだろうと思うような名詞の羅列とかがちょっとうざい。
そういうところは飛ばし読みしたりしてしまったのだが、本当は名詞の羅列も意味のあることなのだろう。韻を踏んでいると思われる部分もたくさんあり、原文では、非常に高度な技を駆使した小説なのではないかと思った。日本語でもそれが感じられるのだから、訳すほうもひと苦労だったに違いない(翻訳そのものはよかった)。しかし時間があまりなくて、夢中になるほど入り込めなかったのが残念。
主に、世界中を飛び回る冒険王ジャックのほら話なのだが、それぞれが単なるおとぎ話ではなく、そこから派生する話が、百科事典でも調べたような深みのある、また「ほら話」なのに真実味のありそうな話なのだ。実際に、巻末にある参考文献の数を見て驚く。これだけの書物を読み、物語をつくりあげた手腕はすごい・・・のだろう、たぶん。
2005年08月31日(水)
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