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 崖の国物語〈5〉最後の空賊/ポール・スチュワート

『崖の国物語〈5〉最後の空賊』/ポール・スチュワート (著), クリス・リデル (著), Paul Stewart (原著), Chris Riddell (原著), 唐沢 則幸 (翻訳)
単行本: 548 p ; サイズ(cm): 19 x 13
出版社: ポプラ社 ; ISBN: 4591082288 ; 5 巻 (2004/08)
内容(「BOOK」データベースより)
トウィッグ船長とカウルクエイプが崖の国を救ってから五十年―崖の国には、新たな危機が訪れていた。「石の巣病」の流行で、浮遊石が浮力を失ってしまった。空賊の時代は終わった―。地下の図書館司書学会下級司書の少年ルークは、思いもかけず司書勲士に選ばれた。深森の奥にある「自由の森」へとおもむき、訓練を受けて深森の謎を探る学究の旅にすべてを捧げるのだ。しかしその自由の地にも邪悪な「闇の守護聖団」の魔手が忍び寄っていた。困難を乗り越えてようやく探索の旅に出発したルークが、深森の深奥で出会ったのは―!?予想を超えた新たなる展開でますます目が離せない“崖の国物語”感動の第五部!

主な登場人物・動植物

●ルーク・バークウォーター:主人公。13歳の孤児の少年。「図書館司書学会」下級司書。
●アルクウィス・ヴェンヴァクス:司書学者の長老。
●ヴァリス・ロッド:高名な司書勲士。幼いルークを深森で拾った恩人。
●フェリックス・ロッド:司書助手。ルークの親友で、ヴァリスの弟。
●フェンブラス・ロッド:「図書館司書学会」上級司書学者。ヴァリスとフェリックスの父。
●ストブ・ラムス:司書勲士に選ばれた青年。やや知識を鼻にかけるところがある。
●マグダ・バーリクス:司書勲士に選ばれた少女。率直できっぱりとした性格。
●トーラス・ペニタクス:闇博士。「夜の守護聖団」の無法ぶりに怒りをおぼえて「図書館司書学会」に加わる。
●アルバス・ヴェスピウス:光博士。闇博士とともに、「新サンクタフラクス」を出て「図書館司書学会」に加わる。
●テーガン:司書勲士の旅の案内役(ノクゴブリン族)。
●パーティフュール:司書勲士の旅の案内役(ヨマヨイ族)。
●ヘックル:司書勲士の旅の案内役(オスのオオモズ)。
●デッドボルト・ヴァルプーン:元空賊船長。オオモズたちに捕らえられた。
●コブシ:飛翔機<モリスズメバチ>をたくみに扱う飛翔機乗り(ホフリ族)。
●パーシモン:自由の森の「湖上発着場」最高指導者(ノクゴブリン族)。
●オークリー・グラフバーク:飛翔機作りの教官(ウッドトロル族)。
●トウィーゼル:飛翔機のニスがけの教官(アシナガバッタ)。
●ブリスケ:飛翔機の帆の張り方とロープさばきの教官(ホフリ族)。
●オービクス・ザクシス:「夜の守護聖団」最高守護者。神聖都市「新サンクタフラクス」の事実上の支配者。
●ザンス・フィラーテン:「夜の守護聖団」オービクス・ザクシスの弟子。
●ヴォックス・ヴァーリクス:「新サンクタフラクス」の最高位学者。策略でその地位についたが、オービクス・ザクシスに実験を奪われる。
●トウィッグ:伝説の空賊船長。
●カウルクエイプ:元「新サンクタフラクス」最高位学者。ヴォックスに地位を奪われた。
●ウーメル:まだ若いメスのオオハグレグマ。
●ウラーロ:メスのオオハグレグマ。鋳物工場地帯で奴隷として働かされていた。
●ガーラ:年老いたメスのオオハグレグマ。賢者・長老のなかの長老と呼ばれる。
●ウィーグ:肩に大きな傷あとのあるオオハグレグマ。かつて空賊船に乗り組んでいた。
●ラメル:黒くて大きなオオハグレグマ。オオハグレグマたちの代表格。
●ミール、ルーム:双子のオスのオオハグレグマ。浮遊石を扱うストーン・パイロットの助手をしたことがある。

◆オオグチハイカイ:車引きや護衛、騎士の乗り物として好まれる動物。
◆ウィグウィグ:オレンジ色の毛玉のような外見とは裏腹に鋭い牙を持ち、群れで獲物に襲い掛かって食い尽くす獣。
◆テツノキ:鉄の代わりとして用いられる、利用価値の高い樹木。
◆シズノキ:熱すると浮き上がる性質を持つ深森の浮揚木の一種。
◆ヌマノキ:浮揚木の一種。モグラニカワをぬると大きな浮力を得、飛翔機を作ることができる。


これまでの4巻までは、主人公トウィッグに関連する事柄が書かれていたが(トウィッグが登場しなくても、その父親が主人公だったりする)、この5巻は、全く違う話で、なおかつこれまでの「崖の国」とは様相も違う。これまで同様、メインは主人公の冒険話なのだが、どちらかというと、トウィッグが活躍した頃から50年くらいたった、新しい「崖の国」の描写のほうに重きが置かれているといった感じも受ける。

あらすじは上記の内容説明の通り。ただ、思わぬところで、なつかしのトウィッグが登場する。もちろんずいぶん年月がたっているので、あの若く血気盛んなトウィッグではないが。

新主人公ルークと旧主人公トウィッグが共に協力して、「石の巣病」によって今では飛ばすことも不可能ないにしえの空賊船を飛ばすところは痛快。だがトウィッグは、「石の巣病」に感染し浮力を失った空賊船と共に、またもや世界の果てへ。後を追うシュゴ鳥に守られて。

4巻目までは一気に読んだし、話にもどこかに繋がりがあったので楽しめたが、今度の話は、ちょっと違和感を感じた。主人公がこれまでの「空賊」とは違い、「図書館司書」というキャラなのも関係しているかもしれない。トウィッグや、その父親の雲のオオカミはヒーローだったが、ルークはヒーローというタイプではないし、また今後もそうはならないだろうと思うからだ。

これまでは、さまざまな動植物が出てきて、それも楽しかったのだが(もちろん今回もいろいろ登場はする)、残忍なオオモズたちの出番が多く、オオモズがキャラとしては好きではない私としては、ちょっと残念。このシリーズは好きなシリーズだが、どんなシリーズでも、全ての話が面白いというわけにはいかないのだなと。

2005年04月21日(木)
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