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 ドラゴンランス伝説〈3〉黒ローブの老魔術師/マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン

『ドラゴンランス伝説〈3〉黒ローブの老魔術師』/マーガレット・ワイス (著), トレイシー・ヒックマン (著), 安田 均 (翻訳)
単行本: 347 p ; サイズ(cm): 21 x 15
出版社: エンターブレイン ; ISBN: 4757719388 ; 3 巻 (2004/07/23)
内容(「BOOK」データベースより)
〈大変動〉から百年後、大魔法使いになったレイストリンは、兄キャラモン、クリサニアを伴ってパランサスの〈上位魔法の塔〉にいた。クリンを手中にすべく野心を抱いて、奈落へ通じる〈扉〉を探し求めていたのだ。だが、それはすでに神官王が〈塔〉の支配をもくろんだ時に、他に移されていた…。年代史家アスティヌスとの交換条件にやむなく応じるレイストリン。一方、〈運命の日〉に一人とり残されたタッスルホッフは、炎のように輝く空の下、荒涼とした大地のまん中にぽっんと立っていた。〈暗黒の女王〉が住んでいる界だ!恐怖におびえるタッスルの前に女王が現れる…。フィスタンダンティラスの将軍になったキャラモン一行は、再び荒廃したクリンの旅を余儀なくされる―。待望のシリーズ第3弾。


<新たな登場人物>

●年代史家アスティヌス
大都市パランサスの大図書館の館主にして偉大なる歴史家。書物の神である中立神ギレアンの化身とされ、世界創始のときより世界の歴史を記録し続けている不老不死の男と言われている。冷徹で歴史に干渉しない。

●英雄カーラス
戦場での豪遊を讃えられる山ドワーフの偉大な戦士。名高い<カーラスの槌>をふるう。戦争を嫌い、山ドワーフの王ダンカンと丘ドワーフ代表のレガール・ファイアフォージ(フリントの祖父)の仲を取り持とうとするが・・・。

●ハーフ・オーガー<鋼鉄足(スティールトウ)>
人間女性とオーガーの間に生まれたハーフで、30〜40名の野盗団を率いる首領。片足が鋼鉄の義足。幼い頃母に捨てられ、不憫に思った人間の貴族に育てられたが、成人するとその貴族を殺して金を奪い、無法者となった。


いよいよこの巻で、あの<大変動>が起こり、レイストリンと大魔法使いフィズタンダンティラスとの一騎打ちが描かれる。歴史に記された<大変動>は避けようがなく、だがレイストリンはフィスタンダンティラスに打ち勝つ。そうしてレイストリンはまた、フィスタンダンティラスとして生きながらえることにもなる。そして、時は<大変動>の百年後、<竜槍戦争>の百年前、まことの僧侶が一人もいない時代へと移る。ここでレイストリンは、野望を達成しようとするのだ。

タイムトラベルの話は、だいたい途中でややこしくなってくるのだが、やはり歴史の掟(歴史は変えられない)は守られており、だからこそレイストリンがフィスタンダンティラスになったりして、余計にややこしくなる。

しかし、ここで歴史を変えうるものがある。ケンダー族のタッスルホッフだ。キャラモンが魔法使いパー・サリアンから渡された、いわゆるタイムマシンには、ケンダーはご法度だったのだが、タッスルはそれを破ってしまった。ゆえに、神々のあずかり知らぬところで、歴史は変えられるかもしれないのだ。だが、今のところタッスルは、歴史をそのまま繰り返している。<奈落>に行ったタッスルは、果たして歴史を変えることができるのか・・・。

この3巻目では、キャラモンとレイストリンの双子の愛憎が、より深く描かれているのだが、

「剣をつかみ、弟と目くばせを交わす。この一瞬、二人のあいだにあった長年のよそよそしい闇が、嫉妬が、憎悪が──すべて消え去った。ともに危機に直面し、二人は母親の胎内でそうだったように、ひとつになっていた」

という部分を読み、胸が熱くなった。自分にも弟が二人いるので、その弟たちが喧嘩などせず、こんなふうにひとつになれたらどれほどいいかと思わずにいられない。血のつながりの深さというものを、この文章は痛いほど表していると思う。

2005年04月16日(土)
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