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■ 顔を返せ(上・下)/カール・ハイアセン
顔を返せ (上) 角川文庫/カール・ハイアセン (著), 汀 一弘 文庫: 316 p ; サイズ(cm): 15 出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042655017 ; 上 巻 (1992/11) 内容(「BOOK」データベースより) 何者かがミック・ストラナハンの死を望んだ。ミックは元フロリダ検察局の捜査官。干潟に建つ古い船屋に住み、魚たちと孤独を楽しんでいた。結婚5回、離婚5回、殺人五人。くえないやつだ 誰に恨まれてもおかしくない身だ。狙われた理由はわかっている。4年前に手がけた女子大生失踪事件がくすぶっているのだ。ミックは事件にけりをつけることをきめこんだ―。犯罪小説のマーク・トゥエインと称された奇才ハイアセンが軽妙洒脱に描く会心の一作。
顔を返せ (下) 角川文庫/カール・ハイアセン (著), 汀 一弘 文庫: 310 p ; サイズ(cm): 15 出版社: 角川書店 ; ISBN: 4042655025 ; 下 巻 (1992/11) 内容(「BOOK」データベースより) 整形外科医ルディ・グレイヴラインは世の変身願望症患者から金を巻き上げることに余念がなかった。失踪した女子大生もルディの患者だった。近頃、四年前の事件をむし返えそうとしている者がいる。ルディは殺し屋を雇った。ケモ―誰もがそうよぶ無気味な巨漢―は、以前、整形手術に失敗していた。見るも無残になってしまった顔を元にもどしてもらうことを条件に殺しを引き受けたのだが…。
※画像は原書 『Skin Tight』
あっという間に読めるかと思っていたら、意外に手間取った。ハイアセンはかなり文章をひねっているし、文章もしっかりしている。省略がない。さらっと読めそうなのに、結構じっくりいかなくてはならなかったりするのだ。ハーラン・コーベンなどよりは、文章も上手いし、ユーモアも上級だと思うが。
ハイアセンのミステリは、ほとんどがフロリダが舞台。私もフロリダ好きなので(年寄りじゃあるまいし)、雰囲気も気に入って入るのだが、ハイアセンの好みの殺しは、「ミンチ系」。人間をミンチにするマシンは毎回違うが、ありふれたものである。ゴミ収集トラックだったり、植木屋の材木断裁マシンだったり。でも、必ず一人はミンチ系で死ぬ。あまり想像したくはないが。
今回の主人公である元フロリダ検察局の捜査官ミック・ストラナハンも、ばっちり私好みの主人公だったが、今回もまた性懲りもなく登場している(ハイアセンのミステリにたびたび登場する)アル・ガルシア警部もいい。
どちらもアウトロー的だが、シニカルなユーモアたっぷりのタフガイという感じ。ミックとは、お互いにさんざん悪口をいいながらも、男でなければわからないといった類の友情=信頼感を持っているといった関係。
フロリダという場所柄、汚職や買収なんていうのは日常茶飯事なのだが、ミックやガルシアもそういうことを否定はしないが、ちゃんと正義は貫くといった具合で、血なまぐさい殺人などがあったにも関わらず、結末は妙に明るい。ハイアセンお得意の、「登場人物のその後」も笑える。
2004年11月09日(火)
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