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■ The Pilot's Wife/Anita Shreve
内容(「MARC」データベースより) 深夜に届いた、夫の突然の死の知らせ。衝撃に耐え、溢れる感情を抑える間もなく、さらに信じがたい事実が浮上する…。結婚の深層に光を当てるスリリングな物語。
これはミステリとして読むと失望するという。それもそのはずで、アニタ・シュリーヴはロマンス系の作家だ。そもそも、ミステリ小説であるとして紹介した出版社に比があるというものだ。
なんとなくの思い込みで、この「パイロット」とは、空軍か海軍のジェット戦闘機のパイロットだとばかり思っていたのだが、読んでみたら、旅客機のパイロットであることが判明。すっかり「トップガン」みたいなイメージを作り上げてしまっていたのだが、冒頭から肩透かしをくらった感じ。でも、夜中に突然、パイロットの夫が死んだことを知らされるという設定は、やはりドキドキする。
で、最後にもまた肩透かしをくらう。肩透かしとは別に悪い意味ではないのだが、そういう結末になるのか!という感じ。ミステリではないのだと思いつつ、じゃあロマンスなのかというと、そういうわけでもなく、予想外の展開にはびっくり。
夫が突然の事故で亡くなってから、幸せだった家庭に、次々と暴露されていく秘密。その謎を辿っていくと・・・。ええっ!という展開。最後は結局ロマンス的結末になるのだが、それはそれでいいでしょう。心理的な面もよく描かれているし、夫に別の家庭があって、子どもが二人もいたなんてことは、当然予想される展開だが、そういう予想を大きく外れた意外な展開というのも面白い。
この主人公のような立場になったら、私だったらどうするだろうか?と考えると、非常に恐ろしい。夫が死んだということよりも、夫に他の女性がいて、子どもまでいたということのほうがショックだと思う。女遊びのひとつやふたつ・・・とは思うものの、実際に形として残されている不倫の現実というのは、耐えられないだろうと思う。そのあたりの主人公の心の動揺(そんなに生易しいものではないだろうが)が、よく描けていると思う。
たしかに、これをミステリ小説だと言うと、ミステリファンには面白くないだろうが、そもそも作者はミステリとして書いているわけではないから、そのあたりに期待してはいけないだろう。あくまでもロマンスである。ジャンルでいえば、ジェントル・フィクションかも。
2004年07月15日(木)
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