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 Good in Bed/Jennifer Weiner

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フィラデルフィア・エグザミナー紙の記者キャニー・シャピロは、恋人とは別れたものの、仕事にも暮らしにも満足しており、太めの体型にもさして不満はなかった。元恋人のブルースが2人のセックスライフを、そして太った女性を愛した経験を雑誌に発表するまでは…。

そんなブルースになおも未練を残すキャニーだが、彼の心はすっかり離れていた。失意と怒りの日々を送るキャニーは過去を振り返る。母親と子どもたちを捨てて出ていった父親。恋人と暮らすレズビアンの母親。そこから、キャニーの自分探しの旅が始まる。摂食障害センターの医師や、取材で親しくなった有名人や、友だちや家族との交流を通して、キャニーは新たな人生に向かって歩きだしていく。

ヒロインのキャニーは、本人の言葉を借りれば、マーサズヴィニャードの海のような深いグリーンの瞳を持つ、孤独で愛に飢えた28歳。アリー・マクビールとブリジット・ジョーンズを足したくらいの…体重がある。ひねったユーモアと柔らかな心であれやこれやの問題に立ち向かう姿には、誰もが共感を覚えるだろう。

題名や表紙から受ける印象に反して、本書は愛すべき女性キャニーの成長物語だ。キャニーの語り口はウィットに富んでおり、華やかな芸能界の様子や、ポップ・カルチャーもちりばめられたぜいたくなエンターテイメントに仕上がっている。(小泉真理子)

内容(「BOOK」データベースより)
主人公:キャニー・シャピロ。28歳。独身。「ブリジット・ジョーンズとアリー・マクビールを足したくらい月並み」と嘆くキャニーのもとに届いた、信じられないくらい最悪の知らせ。元彼のブルースが、「グッド・イン・ベッド―抱かれ上手な女になるために」と題された人気雑誌のコラムに、ふたりのセックスライフを、そして彼女の体型までも事細かに書いたなんて!それをきっかけに、月並みなはずのキャニーの人生は、めまぐるしく変わりはじめる。恋や仕事、ダイエット、将来への不安…女性はいつも、たくさんの悩みを抱えながら生きている。それを一点の曇りもない誠実さと、とびきりのユーモアで綴った、ジェニファー・ウェイナーのデビュー作。自分の居場所を探し求めるすべての女性へ―笑いと涙と勇気を与えてくれる、最高のプレゼント。



これも「BJ系」かな?と思って、気楽に読めるだろうと思っていたら、案外重たいテーマがぎっしり書かれていて(文章的には「BJ」っぽいのだけれど)、かなり時間がかかりそうだったのだが、なんとなく眠れなくて、夜中に一気に読んだ。

内容は、上に書いてある通りだが、「とびきりのユーモアで綴った・・・」というのは、ちょっと違う気がする。ユーモアは、ほとんどない。文章が「BJ」っぽい独白だから、お気楽な感じを受けるが、この主人公の人生は、結構きつい。いや、ブリジット・ジョーンズだって、その他の本の主人公だって、みんな人生はしんどいものだと思って、一生懸命に生きているんだと思うけれど。

シチュエーションが違うだけで、それぞれ皆辛い思いをしているんだろうけど(ほんと、人生は辛いのよ!)、今回の『Good In Bed』は、ちょっと深刻。父親の愛情を得られなかったトラウマを抱え、大柄で太目であるがゆえに、誰も自分を愛してくれないと思い込んでいたりする。そもそも父親が責任感のない酷い男なのだが、元彼の仕打ちもまた酷い。

少なくとも、実の親くらいは、自分の娘にデブだのブスだの言ってはいけないだろう。整形外科医の父親は、自分の娘が自分の美意識にあてはまらないとして、汚いものでも見るような目で見ていたのだ。挙句の果てに、妻と子を捨てて、姿を消した。それでも彼女は、ずっと父親の愛情を求めていたというのが悲しい。どんなに酷い男でも、かけがえのないたった一人の父親には違いない。

個人的にはあまり共感を得られるキャラクターではなかったが、彼女の気持ちはわかる。彼女がそういうことを乗り越えて、精神的に自立していき、これから幸せになっていくんだという結末には、それなりに感動もした。とはいえ、この手の小説で、ブリジット・ジョーンズを超えるキャラクターは、まだ登場していないように思う。

それにしても、こういう小説の登場人物とかって、だいたい出版社だとか新聞社なんかに勤めていて、コラムなんかを書いていたりするんだけれど、コラムって、あんなに赤裸々に自分のプライベートなことを書いちゃうわけ?といつもびっくりする。

下にある内容説明にもあるように、今回もえ?とびっくりするような内容のコラムを書いている(元彼が)。こんなのあり?それってOKなの?って感じ。私がコラムというものを誤解しているんだろうか?とも思うが、世の中には、そんな赤裸々なコラムを、喜んで読む人がいるんだなと。

フィクションなんだから、そういうことはどうでもいいんだろうけど、この間読んだ『ガールズ・ポーカー・ナイト』のコラムもすごかった。上司との関係を全国紙に書いてしまうんだから、何を考えているんだろう?って感じ。

でも、毎度思うんだけど、こういう小説に出てくるような責任感のある優しい女友達って、ほんとにいるのか?と疑う。落ち込んでいたりすれば、必ず元気づけにつきあってくれるとか、何事かあれば、いろいろ助けてくれたりとか・・・。

だいたい結婚なんかしてしまえば、家庭のことが一番で、友達なんか二の次でしょう。自分の家庭が世界の中心みたいになってしまうんだから。結婚すると、もう明らかに付き合い方は変わってしまう。それぞれの家庭の都合ってものがあることはわかるけど、人間そのものが変わるわけじゃないのに、女同士はなぜそうなってしまうんだろう?こういう小説を読むと、そもそも友達だと思っていたのが間違いだったのか?とも思ってしまう。たぶん、きっとそうなんだろう。

そういう意味では、男の人っていいなと思う。結婚しても付き合いは変わらないし、長年会っていなくても、その間にある友情は変わっていない。最近お気に入りのコーマック・マッカーシーの小説には、そうした男の友情みたいなことも描かれていて、無駄口はきかないけれど、ちゃんと相手のことを思いやっているし、お互いに何かあれば助け合うという信頼感みたいなものがあるのが、とてもうらやましいと思った。

2004年05月14日(金)
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