読書の日記 --- READING DIARY
 ⇒読書日記BLOGへ
  schazzie @ SCHAZZIE CLUB



 崖の国物語(4)ゴウママネキの呪い/ポール・スチュワート

カバーより
若き空賊クウィントは、父の盟友:最高位学者リニウスのもとで、徒弟生活を送るはめになる。だが、リニウスの娘マリスは鼻持ちならないし、派閥抗争に明け暮れる学者の世界には虫唾が走る。頼みのリニウスは夜な夜なクウィントをたたき起こし、怪しげな任務を命じる。巻物がたわわと吊るされた大図書館、錆びついた低空降下機、不気味な息づかいにうごめく地底トンネル─。リニウスがひた隠しにする「大いなる仕事」とは?「石の巣」に出没する深紅色の光の正体とは?ときは前三作の主人公トウィッグの父母の青春時代。神聖都市の歴史と浮遊石内部の謎が明らかにされる、崖の国物語、待望の第四部。

<原書>
『The Curse of the Gloamglozer (Edge Chronicles, 4)』/Paul Stewart (著), Chris Riddell (イラスト)
ペーパーバック: 384 p ; 出版社: Corgi Childrens ; ISBN: 0552547336 ; (2002/09/02)
内容(「MARC」データベースより)
時は溯り、トウィッグの父・クウィントの青年時代。父の飛行船で空賊として活躍するクウィントは、ある日、父の盟友で神聖都市の最高位学者であるリニウスの助手として預けられるが…。人気の英国ファンタジー第4弾。



<崖の国物語固有名詞対訳表>

前3巻までとは全く違う時代の話。前3巻の主人公だったトウィッグの父親クウィント(幼名)と、母親のマリスの話だ。

これまで読んだ4巻の中で、個人的にはこれが一番好き。トウィッグも成長してヒーローになったが、クウィントはさらにヒーロー的要素を持ったカッコイイ男の子だ。のちに妻となるマリスと、子どもらしい喧嘩などもするのだが、どんな時にも、マリスを守ろうとするクウィントは、それだけで、正統派のヒーローである。のちに「雲のオオカミ」と名乗るに十分な、勇気と責任感、正義感を持った少年である。

話は、崖の国の神聖都市サンクタフラクスの謎に迫る。都市が空中に浮いているのはずっと不思議な感じがしていたが、それなりの説明はあった。けれども、その内部の秘密がここで明かされるのだ。

ここで初めて登場する、身を隠す大地学者もいい味を出している。『指輪物語』のガンダルフか、「アーサー王伝説」のマーリンかといったところか。賢者であり、なおかつ勇気と正義感を持った、優れた人物。残念ながら途中退場してしまうのだが、この学者の死にも、大事な伏線がある。

そして、1巻目にも登場した、人の恐怖を食べて生きる悪鬼とも言うべきゴウママネキ。ここでクウィントがゴウママネキをやっつけたがために、その息子であるトウィッグが呪われていたのだと知る。深森でぬくぬくと暮らしていられなかった理由、どうしても外に出て行かざるを得なかった理由がこれだったのだ。

他の巻も面白かったが、この4巻目が最もテンポもよく、スリルに満ちていて面白かったと言えるだろう。この巻だけを読んでも差し支えないが、やはり順を追って最初から読んできたほうが、作者の意図が見えてくる。ともあれ、オリジナリティに富んだ、よくできたファンタジーだ。このシリーズは面白い。今後も注目していたい。

<The Edge Chronicles>のサイト

2004年05月09日(日)
Copyright(C) 2000-216 SCHAZZIE All rights reserved.
初日 最新 目次 MAIL HOME


↑参考になったら押してください
My追加

Amazon.co.jp アソシエイト