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 すべての美しい馬/コーマック・マッカーシー

内容(「BOOK」データベースより)
1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、自分の人生を選びとるために親友ロリンズと愛馬とともにメキシコへ越境した。この荒々しい土地でなら、牧場で馬とともに生きていくことができると考えたのだ。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作。


苦手だと思ってずっと手を出さなかった、コーマック・マッカーシーの『すべての美しい馬』を読み終えた。これは純文学だし、中身にも哲学的な部分があるから、なにか小難しい言葉を並べた感想を書くべきなのかとも思ったが、そもそもこれを読むきっかけが、そんなたいそうなことではなかったのだから、感じたままに書く。

これはたまたま、映画「オーシャン・オブ・ファイヤー」を観て、カウボーイってカッコイイなあと思ったのがきっかけで、読むなら今しかない!と読み始めたときにも書いたのだが、文体がとりつきにくかっただけに、この主人公はヴィゴ・モーテンセンであると激しく思い込み、無理矢理そういうイメージを作り上げて読んだと言っても過言ではないかも。(^^;

ところが、この主人公ジョン・グレイディは16歳なのだ。40歳もとうに越えているヴィゴとはちょっとギャップがありすぎる。しかし、この主人公は16歳にしては落ち着いていて、年齢が16歳だということなど、ほとんど頭に浮かばないほど大人っぽい。一人で行動のできるしっかりした男だ。まさに「孤高のカウボーイ」という感じでカッコいい。こんな16歳の男の子って、今時いるかな?

ところで、映画「すべての美しい馬」では、ジョン・グレイディ役はマット・デイモンなのだが、年齢的には彼のほうがはるかに合っていると思うし、彼のジョン・グレイディも、きっと素晴らしいだろう。でも、すっかりヴィゴのイメージで読んでいたので、いきなりマット・デイモンが出てきても、すんなり受け入れられるだろうか?マット・デイモンも好きなので、彼が出演しているっていうのはいいのだけれど、ちょっと複雑。

この『すべての美しい馬』を含む、コーマック・マッカーシーの「国境三部作」も読んでみたいと思ったが、2作目の『越境』は在庫切れ。3作目の『平原の町』は単行本で入手可能。『越境』は主人公が違うのだが、『平原の町』は、ジョン・グレイディのその後という内容らしいので、大いに興味あり。少しは大人になってからの話だから、無理矢理ヴィゴのイメージでもいいだろう。<何が何でも「カウボーイ」といったらヴィゴ・モーテンセンなのだ。(^^;

それにしても、絶対嫌いだろうと思っていたマッカーシーを気にいるとは!やはり読むタイミングというのも大事だが、本は読んでみなければわからないのだなあとつくづく思う。ただ、この本を買ったときに読んでいたら、間違いなく嫌いになっていただろうと思うが。

しかし、マッカーシーの文章は、そのすべてとは言えないが、時折素晴らしい描写があることは確かだ。彼のストイックな生き方も含めて、すごい作家だなと思う。マッカーシーは書くことにこだわり、極貧の生活だったのに、「言いたいことはすべて売れない本の中に書いてある」と主張し、2000ドルの講演依頼も断ってしまうくらいのストイックさだ。貧乏話を売るオースターとは全然違う。

オースターも作品は好きだが、貧乏話のエッセイは受け入れかねる。貧乏が悪いと言っているわけではけしてないが、お金のことなど言及せず、「清貧に甘んじる」といった精神のほうが、私は好きだ。オースターに関しては、マッカーシーとはまた別の話になるが。


2004年04月30日(金)
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