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 大泥棒と結婚すれば/ユードラ・ウェルティ

青山南(訳)
この前読んだ『黄金の林檎』とは全く違う作風の長編。
一見グリム童話かと思うような話だったので、あとがきを読んだら、やっぱりグリムの「強盗のおよめさん」を下敷きにしているそうだ。童話っぽいので、へんてこな設定が出てきても、別にまあいいかという感じ。

前回のがケルト神話をモチーフにしていて、今回はグリム童話。どうやらウェルティは昔話が好きらしい。というのも、家に本がたくさんあって、子どもの頃にそれを読みあさっていたというから納得。

で、肝心のこの本の感想はというと、グリム童話っぽいとしか言いようがなくて、それが頭から離れないので、ウェルティの作品を読んだという気がまったくしないのだ。内容としては、前の『黄金の林檎』のほうが設定も話の運びも変わっていて面白い。もちろんこれも変わっているという意味ではそうなのだが、やっぱりグリムなのだ。グリム童話を下敷きにしたのはいいが、そこから脱しきれなかった感が大きい。

2冊読んでも、いまだにユードラ・ウェルティの作風というのがよくわからない私である。どこか現実離れしているという雰囲気はわかるのだが、これといった決め手がない。文章もけして上手い人ではないような気がする。

<参考>
【ユードラ・ウェルティ─どうして郵便局で暮らすようになったか(青山南)】
この文章の中にある「ぼくが昔ウェルティの小説を翻訳したことがある・・・」という翻訳書がこの作品。


2003年05月03日(土)
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