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 洞窟(B+)/ティム・クラベー

<カバーより>
地質学者エイホン・ヴァクターはいまラタナキリ国にいる。とうとうぼくは、麻薬入りのトランクをもって、ここまで来てしまった。金欲しさに麻薬密売人アクセルの言いなりになって。数年前、ここでオランダ人ビジネスマンが麻薬所持で死刑になったというのに。
結局ぼくは、アクセルに人生の手綱を握られているのか。14歳のサマーキャンプで出会った、あの反抗的なカリスマ。誰もが引きずり込まれる、あらがいたいふしぎなオーラ。でもあの夏は、ぼくが将来の夢を決めた夏でもあったんだ・・・。
オランダの大御所クラベーの、超傑作サスペンス。過去と現在、物語の舞台が交錯する先の読めないストーリー展開。すべてのパズルが符号したとき、せつない運命に胸がしめつけられる。

というわけで、各雑誌、新聞の批評は素晴らしいものばかり。これはサスペンスであるとされているので、詳しい感想を書いてしまうと怒られるだろうし、だからといって書かなきゃ感想にならない。ともあれ、大まかなところは上のカバーの文章で把握していただくしかない。

個人的には、主人公とはちょっと離れた(全然関係がないというわけではないが)、全然違う人物が語る話の部分(つまり「ぼく」ではない誰かが語っている、「ぼく」の物語でない部分)が素晴らしいと思った。カバーにある「せつない運命」とはここの部分だろうか?しかしそれも書いてしまうと「ネタばれ」と怒られそうなので、なんとも感想の書きにくい物語で困ってしまう。心に余韻を残すその話、あとで思うのは、自分の親の人生とは、本当はどんなものだったのだろう?ということ。



2002年09月02日(月)
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