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 こわれた心を癒す物語(B+)/ジャコモ・バッティアート

これは読んだ人の心が癒されるのかと、勘違いする人も少なくはないのではないかと思うタイトルだ。事実、私も癒し系の物語かと思っていた。しかし、実際はこのまんまの意味なのだ。

ふとした両親の不注意な言葉から、心が壊れてしまった少女。精神病院で隔離され、ひどい状態に置かれてたいたこの少女を、ある若い医師が救い出し、外の世界へと連れ出す。彼は自分の婚約者さえも捨てて、少女の心の闇を開こうとする。そして最後には、その少女は医師の妻となるのだ。

どうも納得できない物語だった。
何か強く惹かれるものがあったからこそ、糞尿にまみれ、吐き気を催すようなひどい悪臭の中で、ひとり隔離されている少女に、興味を持ったのだろうが、果たしてこの少女を救ってやりたいという、純粋な思いだけなのだろうか?少女の狂気に、この医師も同化してしまったのでは?と思うのは、考えすぎか?
しかしそれくらい、私には気持ちの悪い話だった。

少女の心を癒してやりたいと思うのは立派だが、婚約者の心は踏みにじってもいいのだろうか?やはり納得できない。


2001年11月20日(火)
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