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 不幸な子供/エドワード・ゴ−リー

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人気のゴーリー、邦訳第4弾の本書は、文字どおり不幸な少女の物語。

ある日、軍人の父親にアフリカ行きの命令がきた。それが、主人公シャーロットの不幸のはじまりだ。以来、父の戦死、落胆してたちまちやつれ死ぬ母、ただ1人頼みの叔父は、こともあろうにレンガの落下で脳天を割られ、あっという間に孤児になるシャーロット。寄宿学校へ入れられるが、そこでもいじめられて脱走、悪人の中へ。ところが、死んだと思われていた父が生還。あろうことかそれがさらなる不幸のきっかけになろうとは…。

苦労や不幸があっても、ハッピーエンドでカタルシスにもっていくのがお話の定型だとすれば、これは、ページを繰るたび不幸また不幸、不幸のどん底へまっしぐらの、型破りなお話。でも、これだけ徹底して悪いことが続くと、「ここまでやるか!」といっそ小気味よく、しまいに笑いがこみあげて、それなりに浄化もされるから不思議だ。有無を言わさずどんどん進むテンポのせいか、気品ある訳文のおかげか、それとも、私たちの心の奥に隠れていた、人の不幸を喜ぶ悪いタネが、意地悪なゴーリーに暴かれての苦笑なのか。

白黒の、緻密なペン画の1コマごとに、トカゲとコウモリが合わさったような、怪しい生き物が見え隠れしている。そいつが、シャーロットの不幸をいつものぞいている。そしてその小怪獣の目は、絵の中から、本書を見ている私たちのことも、見つめ返してくるようだ。(中村えつこ)


柴田元幸訳

一人の少女が、不幸で不幸でしょうがない一生を、報われないままに終わるという絵本。
小公女だかなんだかのパロディなんだけど、ブラック!
でも、こういう淡々とした不幸ばなしは、なぜか面白い。なにも子供をいじめてよろこんでいるわけではないけれど、ゴーリーの絵がまた、そういう子供を書かせたら天下一品なので、さらにおかしさがつのる。でも、この絵本(あるいはゴーリーの一連の絵本)を見て、かわいそう!とは思えないんだけど。。。訳してる柴田さんも、ククククッと笑っているようだし。やっぱりブラックなユーモアだと思う。


2001年09月09日(日)
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