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 青い眼がほしい/トニ・モリスン

まずトニ・モリスンはノーベル文学賞受賞作家であるので、過剰な期待があったことを述べておかねばならない。ノーベル賞を受賞したからといって、受賞作家の作品が全て面白いとは限らない。川端康成とか大江健三郎は私の好みではないし、そういう意味でも賞の選考基準が、自分の好みにあてはまるわけではないのは明らかだ。しかし、ガルシア・マルケスやギュンター・グラスは好きだし、結局ノーベル賞などには関係なく、好きなものは好き、嫌いなものは嫌いという、実にあたりまえの話なのだが、それでも他の賞とは違って、ノーベル賞はやはり特別な意識を持つものだと思う。こんなことを長々と書いたのは、他に書くことがないからで、過剰な期待をしたがために、逆に失望も大きかったからである。

そもそもこの本を読んだのは、解説が私の大好きな青山南さんだったからだ。
青山氏は黒人の文学に詳しいし、はなから私の持っている知識などは到底及びもつかないのだが、その青山氏の解説があっても、私にはトニ・モリスンを受け入れることができなかった。これは本の内容というより、文体とか文章そのものへの拒否反応かもしれない。

白人社会におけるマイノリティの苦悩とか、白人の外見に憧れる彼らの切ない思いとか、そういった点で、ハワイの日系アメリカ人を描いた、ロイス・アン・ヤマナカの『ワイルドミートとブリーバーガー』のような世界を思い描いていたのだが、それは全く違っていた。

私はアメリカにおけるマイノリティの世界をほとんど理解していないし、また彼らの文化にも無知であることに気づいただけで、物語の中に入り込んでいくまでに至らなかった。プラス、文章自体に拒否反応があるとすれば、トニ・モリスンを受け入れるには、なかなか容易なことではない。


2001年09月06日(木)
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