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 The Ersatz Elevator/Lemony Snicket

(Series of Unfortunate Events, 6)

5巻で不幸続きながらも友達ができ、一時楽しい思いもしたボードレールきょうだい。しかし最後には、その友達(ダンカンとイサドラ)がオラフ伯爵に誘拐されてしまう。この第6巻は、その続きである。というか、友達が誘拐されたという状況も、毎回のオラフ伯爵の登場同様、この先必須の設定なのかもしれない。なぜなら、結果を先に言ってしまえば、この巻でもまたダンカンとイサドラは、オラフ伯爵に連れ去られてしまうからだ。

さて今回は、両親が生きていた時に住んでいたシティーに戻って来る。ダークアヴェニューという通りの48階だか84階だかよくわからない高層ビルの最上階のペントハウスに住む、ジェロームとエズメという夫婦に引き取られる。
しかし、ビルのエレベーターは壊れていて使えないときた。とにもかくにも、屋根のある場所で、それぞれの個室をあてがわれ、食事も不自由なく、ということであれば、彼らにとっては幸運なほうだと言えるだろう。

しかし、水で作ったマティーニとかパセリソーダとかを、飲みたくもないのに飲まされるのはまだいいとしても、やはり辛いのは最上階までの階段の上り下りだろう。うへえ!

ある日のこと、ガンサーというオークショネアがやってくる。ジェロームの妻のエズメと共同で、オークションを開催するためだ。もちろん、これがオラフ伯爵である。例によって、きょうだいはすぐに気が着くのだが、大人たちはいくら言っても信じない。しかも今回は、妻のエズメがオラフ伯爵の仲間だったというのだからなおさらだ。

そして、使えないエレベーター!今回の鍵はここにある。
このエレベーター(タイトルどおり、にせのエレベーターなのだが)をめぐり、末っ子のサニーが嘘みたいな大活躍!

最後にオークション会場で、事はハッピーエンドに終わりそうな感じはするが、やっぱりそうは問屋がおろさない。5巻で、ダンカンの残した謎の言葉「V・F・D」とは一体何か?全てが明らかになったものの、ボードレールきょうだいは再び失意のどん底へ!

今回ももちろん面白かったのだが、6巻も続くとさすがにだれてくるのか(作家も読み手も)、思うようにテンポが上がらない。これまでのような楽しさがない。読み手の意識が、ボードレールきょうだいの身の上よりも、ダンカンとイサドラのほうに向いてしまっているのが原因か?とも思う。そして、どうやら7巻でも、ダンカンとイサドラは戻って来ないようだ…。


2001年06月02日(土)
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