ほうじ茶飲話【JOYWOW】
2007年09月15日(土)
悲しい怒り
三箇所で事故渋滞に巻き込まれ、5時間のドライブをし、 水戸の老人ホームに入居している伯母に会いに出かけた。 過去、茶飲話にも画像入りで登場したあの伯母だ。
でも・・・・。
洒落者で鼻っ柱が強くって、あれだけ粋だった伯母が、 老人ホームと同化していた。 たった一年で、この変わりようはありえない。 表情がまったくなくなり、ただの老人になっていた。
体調があまりよくないとは聞いていた。 引受人である従兄家族たちも、そう聞いていたという。 だが、それは身体のことではなく、精神的なことで、 本人のいうがままに処方される抗鬱剤や睡眠薬のせいだ。 83才という年齢、薬に犯されるのは早かったのだろう。
瞳の周りにカラーコンタクトレンズを着用しているのか と思うような一重線が現れ、瞳自体がグレーに変色していた。 両手は小刻みに痙攣を続ける。すべて、副作用だね。
だが、本人の意識は思いのほかはっきりしている。 とてつもなくゆっくり、抑揚のまったくない調子で 言葉を繰り出す。 「ま・だ(あの世から)お・む・か・え・が・こ・な・く・て・や・に・なっ・ちゃ・う・よ」 「う・れ・し・い・よ」 「ろ・れ・つ・が・ま・わ・ら・な・い・か・ら・こ・と・ば・が・出・て・こ・な・い・よ」
介護の現状を突きつけられた思いだった。 治すことより、投薬が優先されるのが普通であること。 ひとりひとりの心のケアまでは、とても手が回らないこと。
そして、薬と環境が短期間にここまで人を変えてしまうこと。
ホームに到着したとき、「今の時間は、隣のディサービスに 行っています」といわれ、その場所に行ったのだが、ほとんど の方がコップに注がれた水を前に、宙を見ているだけ。 なにもしていない。 もちろん伯母もその一人だった。
ただ一人だけ、まだ入所して間もないのだろうと思われる 身体の自由がきかない、車椅子の男性がいた。 目には力があり、言葉も達者なその人は、怒り続けていた。 すべてに対し怒っていた。
これはなに?・・・・・ディサービスってなんだろう? カルチャーショックだった。
『ディサービスとは、老人福祉法に基づき在宅の虚弱老人、 寝たきり老人などに対し、自立生活の助長、心身機能の維持、 向上を目的で自治体や社会福祉法人が行うサービス』
↑上記が、一般的に言われている説明。
介護を生業とされている方の収入は低く、解決しなければ ならない問題が山積であることも知識としては理解している。 スタッフ人員数も限られている、したいことと、できる事は 違うだろう。それも理解できる。
伯母のいるホームのスタッフの方々が、いい加減だとは 思っていない。
でも、ほんとうに、ここに入りたいと思う人が、 どれだけいるのだろう。
従兄と二人、帰りの車中は暗かった。 60を越えているが、まだまだ若い従兄の言葉が、 私に大きな疑問と問いかけを残した。
「おまえはまだ若いから実感ないだろうけれど、俺なんてさ 恐怖に似たような実感があるよ。俺は絶対ホームなんか はいんねぇよ」
この国を作ってきた人たちの残り少ない人生、そして尊厳 というものを、どうしたら守っていけるのだろうか。
ここから先、テーマとして考え続けようと思う。 避けて通ることの出来ない「問題」なんだよね、これ。
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