2020年01月23日(木) |
猫フクロウとおじいちゃん |
夕暮れ時に 集落を歩いていたら ご近所のおじいちゃんにあった。
90近いおじいちゃんは 五右衛門風呂小屋の前で 畑の道具を触っていた。
星の点り始めた空に 風呂焚きの煙が 溶けゆく。
どこからともなく ミャー、、、ミャー、、と 鳴き声がする。
よく耳にするけど 何の鳴き声かわからない 猫のような鳥のような カエルのような声だ。
これは ミャーティクフだ。
おじいちゃんの頭の上で チカチカと星が瞬いている。
ミャーは猫 ティクフはフクロウ。 猫フクロウだよ。
風呂焚き小屋で パチンと音がして 煙に混じって火の粉が瞬いた。
なんて美しい情景なのだろうか。 わたしが画家だったら このおじいちゃんのいる 夕暮れの空気をそのまま 額の中に閉じ込めたい。
ずっと昔から知っていた 夢の中の懐かしい場所のよう。
うっとりしているうちに おじいちゃんに 大きな大根を2本いただいて お家に帰る。
調べてみると ミャーティクフというのは リュウキュウコノハズクの雌のことだそうな。
よく耳にする コホーコホーと鳴いてるのは 雄の鳴き声なのだそうだ。
今夜は家の横のガジュマルでも ミャーティクフが鳴いている。
ミャーミャーと。
夢の中に迷い込んでしまったからか わたしの心がさだまらない。
何も手につかず 時間も守れず
現実の中に 存在するということが 上手にできない。
時々こんな日がある。
ひとりで ここにいなくてよかった。
こんな日は あたたかい手が わたしと現実を つないでくれる。
ぬくもりが命綱。
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