おしいれのふすまをとっぱらった。
天袋にものをいれすぎて たてつけが悪くなっていたからだ。
たてつけが悪いと 押し入れをあけるのが面倒になり、 ふとんをあげなくなり、 洗濯物をしまわなくなり。
押し入れの前は 押し入れにしまうべきもので あふれかえる。
それで おもいきって ふすまをとっぱらってしまったのだ。
とっぱらってしまうと 気持ちがよくなった。
南風で買った布を つりさげながら あづま荘のことをおもいだした。
あづま荘は わたしが一人暮らしをはじめて 一番最初にすんでいたアパート。
家賃27000円の6畳1間。 トイレと風呂は別棟。
トラという片耳がやぶれた猫がすんでいて 気がむいたらついてきて こたつにはいってくる。
大家さんは老夫婦で 毎月家賃をおさめにいくと、 パチンコの景品のチョコレートをくれた。
冬は水道が凍るので やかんでお湯をわかして 洗濯機やトイレの水道管を とかしていたっけ。
あづま荘での生活は 今はときどきしかおもいださない。
自由で冒険で 好奇心のおもむくままただよって。 やりたいとおもったことには 善し悪しを考える前に とびこんでいったようにおもう。
今は 本当にあの生活があったのかどうか わからなくなるような遠い感じだ。
だけど その記憶は 今の自分をつくるのに とてもおおきな部分をしめているので、 なくならないように 大切に 身体のどこかのカプセルの中。
すこし センチメンタルな 冬の夜でした。
今夜は寒いね。 あしたから 二月だ。
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