「わたしの隠れ家につれてってあげる」
とことん飲んで食べた帰り道。 職場ともだちがいいだした。
10年以上前から、 彼女が時々ひとりでいっているというBar。
そのカウンターのうえで しっぽのさきだけ青みがかった黒い闘魚をみた。
同じ水槽に2匹いれると、 どちらかが死ぬまで闘い続けるのだって。
細い笑い目のマスターは、 羽根みたいなふわふわした声で おしえてくれた。
透明なボトルの中で 闘魚は1匹淋しく、 おこってないていた。
彼はわらうことがあるのかしら。 こいつを おもいっきり笑わせてやりたい。 こそばして くにょくにょにしてやりたい。
ビールと日本酒のあとの ウイスキーをのみながら、 そうおもっていたのでした。
気づいたら家にかえって ねむっていたのだけれど。
昨夜は 闘魚の長い夢をみたのでした。
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