晴れたり 曇ったり
めぐみ



 この時期風邪引く髪型になる

髪を切りに行くのにこんなに緊張したことはなかった。
めぐは七五三から一度も美容院を変えていないからである。
フランス留学中も他の美容院へは行かない徹底ぶり。
たまに友達に切ってもらったり自分で切ったりしていた。
まぁ、フランス滞在中は金がなかったのが
美容院へ行かなかった一番の理由かもしれない。
お陰さまで胸まで伸びた。今と比べると重い程髪があったなぁ。
そして緊張の理由はこれからしようとする髪の短さにあった。
そう!ずっとやりたいと思いつつもやれずに来た
坊主頭にしようと言うのだからドキドキする。
一体仕上がりはどうなるのだろうか?

。。。

向かった先は六本木で美容師をしていた同級生の店である。
地元に可愛らしい店を持ったのだ。
噂はかねがね聞いていて、友達も御愛用している。
が、一緒に学生時代を過ごして来たとは言え、アカの他人。
切ってもらうのは抵抗があった。

「いらっしゃいませ!」
「お荷物預からせて頂きます」
「こちらにどうぞ♪」

心地よい音楽♪イイ香り♪とってもお洒落である。
素敵な鏡の前に座るとお姫さま気分だった。
でも、今からしようとしているのは姫からはほど遠い髪型だった。

「3人で考えていたんだけど。。。」
「こんな感じ?」
それは、思っていたより長めだった。
「ねぇ、これって坊主って呼ぶ?」





「うぅん。。。」





「呼ばないね」

男の子では何人かやってあげたことがあるが女の子ではないみたいで、
本当にいいのだろうか?と切るのを躊躇していた。

「おばあちゃんは猛反対なの」






「え?」
「それはやめた方がいいんじゃないか?」


ますます美容師を不安にさせた。


「いいのいいの!」
「バサッと切ってしまってください」
「坊主でお願いします」




じょきじょきじょきじょき
長い髪が切られてゆきます。



じじじじじじじぃぃぃぃぃぃ




「キャーーーーーーー」





「やめてぇぇぇ」








「くすぐったいぃぃぃ」




バリカン初体験!

あれって、ブルブル細かく揺れてくすぐったいねぇ。
背筋に水がすぅぅぅと流れる感じ。
ぞぞぞ!とするのだ。
バリカンが動いている間中、笑っていた。
動いたりして危ない!
まるで小さい子供が切ってもらっているようである。

私は目が悪い。
ほとんど眼鏡を愛用している。
そして、今日もコンタクトをしなかったので
鏡の中の世界は想像の世界で一体どうなっているのか
ぼんやりとしか見えない。
途中で
「見てみる?」と聞かれたが恥ずかしいからやめた。
「そのまま続けてください」と頼む。
くすぐったい時間はしばらく続いて・・・
整えるハサミの音がする。
めぐ、この音大好き♪
髪をいじられるのも好き♪
あぁ、心地よい!
美容院って眠くなりません?

後はカラーとなった時、
初めて眼鏡を掛けた。
真っ黒髪のツンツンの私が居た。
後ろからも二つ折りにした鏡がその姿を映し出し・・・






「うわぁぁぁ」


「短いーーーーーー」


まるで知らない人が私の代わりに鏡の世界に生きている様だった。
すぐさま、眼鏡をはずした。ふ〜恥ずかしい。

カラーリングをするのはフランス以来。
あの時は友達にやってもらってまだらな金髪になって笑ったのを覚えている。
翌日教室に行ってもしばらく先生は私の存在に気付かなかった。
「あら!居たの?」と言われたのだ。
日本人は黒髪!の印象がよほど強かったとみえる。

「しみない?」

と頭皮の傷を心配してくれた。
皮膚にはつかないよう、薬を乗せると言う感じで作業が進んだ。
だから心配していたことはなかった。
ジュースを飲みながら髪が染まるのを待つ。
クリーム色の薬が紫に変わり

「ではこちらへ」

と洗い流される。
人に洗ってもらうのって気持ちいいよね。
マッサージまでしてもらって極楽である♪

「綺麗に染まってるよ」
「あと、最終チェックして」

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・

「はい!お疲れ様でした」
「いいよ!」と友達。
「顔小さいから似合いますねぇ」とアシスタントさん。
「ありがとう!」

なんだか生まれ変わったみたいで嬉しかった。

「記念撮影ね」

実は切る前にも一枚撮ってもらった。
プリントアウトしてもらい2つの顔を見比べる。
同じ笑い。
なんか合成したみたいだ。。。

。。。

その使用前使用後の写真を片手にいずみ姉さんちに寄る。
「めぐちゃん!」
とちびがにこにこで出迎えてくれる。
この時点ではまだ帽子をかぶっていた。
「見せて!」と言う要望に帽子を脱ぐと
これぞまさに『目が点』と言うのね?
ちびの時間(とき)は止まった。
そして、ちびは「あんた誰?」と顔に書きながら
いずみ姉さんの後ろに隠れ、おそるおそるめぐの顔を伺った。

写真を見せた。
ちびも見る。
一枚目を見て「あぁ、めぐちゃん!」
二枚目を見て「。。。」(無言)
私が誰なのかちびは分からなくなっていた。(涙)
でも、しばらくしたら気持ち好さそうに私の頭を触っているちびがいた。

。。。

帰ろうかと思った頃やっちゃんとし〜ちゃんが登場!
「見に来たよ」
って、あぁた、『会いに来たよ』の間違いじゃないの?
動物園の動物か?がはは!まぁ、それも面白いか!

。。。

家に戻る。
まず母に一番に見せた。
途端に笑い転げてた。

猛反対の祖母はそこには居なかった。
二階に荷物を置きまた戻って来ると居た。

「おばあちゃん!」

と後ろから声を掛ける。
ハッ!と目を見開いたかと思えば
すぐさま、梅干しでも食べたかの様に顔をしわくちゃにして
顔のパーツが中央に寄った。そして、口を手でふさぎながら
私に一言





「嫌だよぉ。この子は。。。」





まだその横で母は笑って居た。





■ラスベガス旅行記■
昨日から変わってません。
と言うか日記帳にスペースがなくなった。どうする?

まだ読んでない方で旅行初日から順番に読みたい方は
ここからどうぞ!


2001年12月10日(月)
はじめ いま いろいろ ひとこと


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