今夜も眠れない

 中高6年間のうちの5年間、図書委員として務めました。
 雑務は嫌々やっていたンですが、本を読むこと自体は嫌いではなかったのでいま思えば楽しかった、ような気がします。
 当時もいまも、図書室は日本語の先生の管轄。赤鬼アジョシの葬儀の場で日本語教員李先生に出くわした妹から「オンニ(姉)に言っておいて!本を寄付しろって!」という伝言を受けたので、久々に母校に行ってきました。
 ダンボール二箱いっぱいに日焼けした横山秀夫、高村薫、歌野晶午、馳星周、梁石日、大江健三郎や遠藤周作、そのほか「ハリー・ポッター」シリーズや新書なんかもゴチャゴチャ詰め込み寄付。
 ほんとうは読んだ本はいつも手元に置いておきたいのだけれども、最近はあまり読み返さなくなったことだし、少し身軽になりたいし、無駄に本棚の肥やしになるくらいなら後輩に読んでもらったほうがきっといい。
 先生方にはいたく感謝されましたが、感謝されることが望みだったのではなく、学生たちが読んでくれたなら嬉しい。
 色々と読んでみるのがいいでしょう、学生の頃は。
 私も色々読みました。寝食忘れて読みました。
 読んだあとは呆然として、やはり寝食忘れて暫し悶々とし続けました。
 そういうのを、たくさん経験すればいい。
 いまはそんな風に本を読めない。働いていたときは尚のこと。
 がんばれ、青少年。
 でも思春期にほんとうに影響を受けたものは手放せないというのは、少しせこいのかも知れない。でもそういうのって、出会いだからなあ。
 ともかく俄かに閑散とした本棚には、すこしばかり寂寥感を募らせるのでした。


 本を渡し終えたあとは李先生とファミリーレストランでランチ。
 相変わらず話が長い。話題も次々に飛ぶ。
 まあ、要するに、本の寄付云々は口実で、話し相手が欲しかったンでしょう。まあ、いろいろと。実にいろいろと聞かせてもらいました。
 お給料は8ヶ月滞っているそうな。
 コミュニティが決して好きではなかったけれど、コミュニティで文字通り心身捧げて働く彼らを否定することなど、やはりできそうにありません。
 少しだけ、羨ましくもあるンですよ。

 別れ際、「仕事辞めたなら文章書きなさい!小説書きなさい!」と散々云われて辟易する。なぜだ…なぜみんな同じことを云うのだ。日本語の成績がよかったからか?大昔の話だがな。
 文章で飯を食っていけるほどのインスピレーションや想像力や創造力、なによりやる気そのものが欠けているということは、私自身がよく知っているのです(この日記の読者諸氏もようっくご存知でしょう)。
 まあ、それを笑顔でやり過ごして、長話に疲れたのか、帰宅後はしばしうとうと。
 そして相変わらず、今夜も眠れない。
2005年03月09日(水)

メイテイノテイ / チドリアシ

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