初雪

 熱に浮かされるように、浅い眠りのはざまに何度も「ハムレット」の夢を見た。
 まなぶたにハムレットが、レアティーズが、クローディアスが、現れては消え、彼らの慟哭と嘆き、悔恨と苦悩の台詞が交錯した。闇の中、逆光に縁取られたように浮かび上がる彼らとは対照的に、若いフォーティンブラスはまばゆいほど綺羅々々しく、なぜハムレットが次の王に彼を選んだのかが初めてわかった気がした。
 自分で思うよりずっと、昨日の舞台の衝撃は自分のなかに深くに刻まれているようだ。機会があればもう一度見たいけれど、どうやら今年はもう、そんな余裕はなさそうだ。


 仙台は今日、初雪が降りました。
 今年はいつもよりずっと早く短く感じ、季節を思う余裕もなく忙しく過ごしていたのだけれど、少し水っぽく重い雪と銀杏の葉が、身を斬るように冷たい風の、そのかたちを追うように舞うのを見ると、冬が来たのだと今更乍らに実感します。
 さささ寒いです。

 今週末には入院中の上司も退院し、来週には出社するという。
 嬉しいけれど、無理はしないで欲しいと思う。
 どこに優先順位を置くかは、やはり本人が決めるのだろうけれど。
 どこそこに転移した、なんていう話を聞くと泣きそうになる。
 泣くのは不遜だ。
 泣いたりできるような立場でも状況でもない。けれど。
2003年12月07日(日)

メイテイノテイ / チドリアシ

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