『レッド・ドラゴン』を観た。

 先週の土曜に『レッド・ドラゴン』(ブレット・ラトナー/2002年アメリカ)を観てきたのですが。
 そこで漸くこの映画が、だいぶ以前に予告編で見た、「フィリップ・シーモア・ホフマンが出演する映画」であることに気づきました。
 例の「and」付きで紹介されたやつね。
 ふひひひひ。最高。

 あ、映画ね。よかったですよ。ちゃんと怖かった。
 トマス・ハリスによるハンニバル・レクターが登場する一連の小説の映画化ではあるものの、ジョナサン・デミの『羊たちの沈黙』(1990年アメリカ)やリドリー・スコットの『ハンニバル』(2001年アメリカ)、或いはマイケル・マンの『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』(1986年アメリカ)等と比較しようとするのは無意味というものです。

 しかしまぁ、レクター役は前二作に続き、今回もA.ホプキンスが演じているし、『羊たちの沈黙』『ハンニバル』がなければ『レッド・ドラゴン』の二度目の「映画化」もなかったのかな。
 そう云えば一度目の映画化作品も、『羊たち〜』のヒットの影響を受けて、ビデオ再販の際に『刑事グラハム/凍りついた欲望』から『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』と改題されたと聞くから、影響の大きさが知れますね。

 さて、ブレット・ラトナー監督の『レッド・ドラゴン』は、ん〜なんというか。
 デミやR.スコットとは違うところを見せようと意気込んだところが感じられました。しっかり自分の色を出そうとしています。監督は相当野心的な方と見た。
 最後のカットはデミへのオマージュか観客へのサービスか。しかしなんとなくわざとらしく、逆にキモチ悪い。音による演出も過剰な感じがしてやや気になりました。

 マンやデミの時代に比べ、「サイコ・サスペンス」とでも云うのか、こういうジャンルに於ける「犯人像」というのは飛躍的に変わりました。犯人が単なる「サイコ」じゃ問題になる、とまでは思わないけど。「浅い」と評価されてしまう傾向がややあるのかも知れない、などと思いました。やりにくいだろうなあ。
 しかしながら、デミの『羊たち〜』は、「空気作り」が秀逸というほかなく、カットひとつひとつに感嘆してしまいます。何度観てもやっぱり素晴らしいです。
 そうそう、セルDVDはNGシーン集やドキュメンタリーなど映像特典が多くて楽しめますよん。
2003年02月15日(土)

メイテイノテイ / チドリアシ

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