a thirst for...

 母曰く「アンタは昔から欲のない子だった」とのこと。



 母にはそう見えていたのか、と些か驚いた。
 欲がないわけでも薄いわけでもない。
 ただ、4、5歳の頃からワタシはうちがそれほど裕福ではないことを知っており、欲しいものを欲しいと我を通し駄々をこねることに罪悪感を覚えていただけのことだ(ヤな子だなあ…)。

 その為か、諦めることに慣れた覇気のない人間に育ってしまった。
 ここでワタシのように諦めてしまう人間と、諦めずに努力する人間とは、どこで違えてしまうンだろうなァ。単に誰がなんと云っても譲れない、というものが、ワタシにはなかっただけなのかも知れない。


 ただ、大学への進学を諦めることには、多少時間を要したかな。
 それでもやっぱりあの頃のうちはそういう状況じゃなかったし。
 知りたいことを知るには、別に「大学生」にならなくなっていい筈だし。
 中にはどうしようもないこともあると、今は納得しているけど。

 独学の問題は、その知識がアカデミックなものなのか、そうでないのかがイマイチよくわからないというところにある(おいらだけか?)。やっぱりそういうのって、同分野の人間とのコミュニケーションの中で知ってゆくニュアンスだと思うンだがね。どうなんでがしょ?よくわからない世界だな。


 やっぱりね、羨ましい。
 本当に大学生が羨ましい。
 好きなこと、知りたいことを一日中知ることができる環境が羨ましい。
 いいなぁ…。






 と、他人の境遇を羨んでばかりもいられませんし。
 知りたい。知りたいことを、知っておきたい。
 何かを探したいわけではない。
 見つけ出したいわけではなく、ただ先人の知識を追うのみで。
 何かに活かそうという気概も目的もなく、何の生産性もない、単なる自己満足に過ぎないのだけど。

 でも、そうだなあ。これが一番の欲なのかな。
 大抵のことは諦められるし、譲れるけど。

 取り敢えずまだまだゼンッゼン、自己「満足」にすら達していないので。
 早く余裕のある状態に戻って、自分の時間を持ちたいなァ。
2002年12月21日(土)

メイテイノテイ / チドリアシ

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