映画を観るということ

 映画を一本観るたびに、私は自分が更新されてゆくような気がする。
 私はいま、この映画を知った。
 そして私は、最早「この映画を知らなかった、以前の私」には戻れないのだ。


 同じ映画を何度見ても、私は更新されてゆく。
 二度見ても、三度見ても、以前の私とは違う私になっていく。
 最早私は、「一度しか見ていない、以前の私」には戻れない。


 だからできれば、映画館も自分も、良いコンディションで観たい。
 特に初めて観るときは注意が必要だ。

 世界中に、映画はそれこそ星の数ほどあり、更にこれからも無尽蔵に作られる。
 すべての映画を観ることは、最早不可能だ。
 私達が観ることができる映画は限られている上に、かつて観た映画でさえ二度と観ることができない場合だってある。
 私達は限られた選択肢の中から、更に選んで、その映画を、生涯でたった一度だけ、「生まれて初めて」観ることができるのだ。

 まさに一期一会。
 取り返しのつかない、生涯たった一度きりのタイミング。
 全神経を集中して観なくては損だ。
2002年07月16日(火)

メイテイノテイ / チドリアシ

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