空色の明日
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2018年04月26日(木) さざなみのよる

「さざなみのよる」木皿泉を読んでいます。
ドラマ「富士ファミリー」の関連ストーリー。
今年はドラマがなかったので
ちょっとがっかりしてたのですが
これをせっせと仕上げてたんですね、木皿さん。

木皿作品は同じ作品でも観る年齢によって
全然違った目線で観られることが面白い。
それが全然劣化した感じにならないのがいい。
歳を重ねてから見ても陳腐にならない。

人は言葉を話すとき、心の中で思ったことを
一度編集してから声に出す。
その編集作業は
「人に変に思われないだろうか」とか
「人を傷つけないだろうか」とか
そういう客観的な目線のフィルターを通す作業。

けれど木皿作品はモノローグがとても多い。
セリフは「つい口を突いて出てしまった」感じの
言葉が印象的に使われる。
そのどちらも編集前の心の中で思っていた言葉だから
きっと陳腐にならず、劣化せず心にまっすぐ突き刺さる。

けれど編集してない言葉なのに
木皿さんが素敵なところは
決して人を傷つける言葉を使わないところ。
みんなが思いやりを持っていて
みんながちょっダメなとこがある。
それが人の本質ってもんだ。
人はそれほど悪くはなれない。
そこを着飾らせずにあえてそのままだすのは
きっと木皿さんが関西人だからだと思う。

関西の人間は気取ることを「かっこ悪い」と思う節がある。
だからかっこ悪いこともそのままさらけ出す。
そこが私にはとてもしっくりくるから
きっと木皿作品が大好きなんだと思う。

さて今回の作品。
死にまつわるお話。
身近な人が亡くなった経験がある人には
とても思い当たるところがいっぱいある。
これもきっとそういう経験をする前とする後で
全然読み方が変わるのだろう。
ずっと何年も読み返したい本。

そしてぜひドラマ化して欲しいです。
読んでいて小泉さんあて書きだと確信できるほど
しっくりきました。
(いや、ここまでやんちゃじゃないわよ!と言われそう)
ぜひ見たい。
最後のセリフを小泉さんの声で聴きたいです。



ドラマと言えば「逃げ恥」の原作者の
海野つなみさんについて。
この人の感性は何か自分の琴線にふれる
何か近しい感じがすると思っていましたら
年齢も同じで同じ兵庫県出身。
今もこちらにお住まいとのことで
Twitterを観ていると行動範囲が近い!
観てるドラマとか好きなものも近い!
こういう人の作るものは絶対楽しめる。
それを知って嬉しい。

あ、そういえば昨日の「半分、青い。」で
主人公が就職試験を受けたリスト(落ちたリスト)の
一覧がSNSで話題になってましたね。
矢田部精工とか天野海産とか坂東織物工業とか
ここ最近の朝ドラの主人公にちなんだ会社名。
放送順にちゃんと並んでる。
細かいところで笑わせてくれる美術さん!
侮れない、このドラマ。


安藤みかげ