紫
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初めて勤めた会社に、沖縄出身の同期がいました。
沖縄に行ったことも、沖縄育ちの人と話したこともなかった私は、彼の存在がとても驚異でした。
ゴミのことを「塵(ちり)」と言ったり、パスタのことを「麺」といったり。
自家製の油味噌をくれたり、沖縄人の集まりに連れて行ってくれたり。
初めて食べたソーメンチャンプルは、その後、私のよく作る料理のひとつになりました。
沖縄県人会のバレーボール大会にも参加しました。
広い体育館で、誰かが三線を弾き始めると、それに合わせて誰もが歌い始め、あちこちでみんなが踊りだします。
(全身で故郷を愛しているんだ…。)
自分の故郷の歌に合わせて踊る彼らの姿に感動し、遠くの地に来てもどこからともなく集まってくる県民性をうらやましく思い、そして自分を振り返りました。
私は故郷を懐かしくは思うけれど、それほど愛してはいません。
故郷にまつわる歴史は好きだけど、それは「私のもの」ではありません。
だから、故郷のことを聞かれても、歴史の教科書のような話しかできません。
「素もぐりすると、サンゴがキラキラ光ってキレイさー」
「沖縄の男子は、親の名前を一文字必ず受け継ぐのさ」
「祝いの席では、必ず踊るさ。こうやってさ…」
楽しそうにうれしそうに「自分の故郷」について語る彼。
沖縄を知らなかった私は、ときどき、その「熱さ」が面倒くさくなったこともありました。
その後、何度か沖縄を旅したり、沖縄の人と話したりするにつれて、彼から教えてもらった沖縄がずいぶんと色濃くなり…。
何年か前に沖縄に戻り、今は一児のパパとのこと。
男の子だったら、きっと名前に「興」という字がついているのでしょう。
今だったら、もっともっと彼の話に耳を傾けることができたのに。
今日の夕飯は、ソーメンチャンプル。
沖縄が私の故郷ではないけれど、とてもとても懐かしい味がしました。
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