+シコウカイロ+
此花



 光。

コンクリートの壁を叩いた。
「入ってますよ」と返事した。
声に耳を傾けたら
夕飯の献立を考えている
コックがぶつくさと
肉を切る悲鳴が聞こえた。

君の声はもう聞こえない。
夕闇に染まる空 眺めてる。


黒い海の中に呑み込まれてゆく
絶望の嵐は揺れる船を
人魚の待つところへ
いともた易く連れて行った
どんなに飾り立てた世界でも
輝く水平線の煌きにかなうものはない
漁師たちは嘆きながら
遙彼方 頭上にある
光の波紋を見つめる貝になった。


夢見る子供たちの目に映っている
現実ほどリアルなものはない
生きることも死ぬことも
許されない世界があるなら
今ここにある全てが
間違っているのだろう。


生きることは光だ。
輝きは人それぞれで
淡く儚いものもあれば
強く輝くものもある

どれも美しい。
どれも必要なもの。





2001年07月28日(土)
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