椰子の実日記【JOYWOW】
2003年11月17日(月)
「昔」の真似
鎌倉の谷は秋の真下にある。十一月の日が、眼に入る 野と林を暖かい色に染めた中に、人は寝たり起きたり している。十一月の日は静かな谷の空気を空の半途で 包(くる)んで、じかには落ちて来ぬ。と云って、山 向(やまむこう)へ逃げても行かぬ。風のない村の上 に、いつでも落附いて、凝(じつ)と動かずに霞んで いる。その間に野と林の色が次第に変わって来る。
と、漱石の一節をパロディしたくなるような秋の鎌倉。 珈琲豆を齧りながら、歩いた。 ちなみに真似した文章は「永日小品」内「昔」冒頭部分。 若き芥川龍之介はこの作品を全部諳んじて朗読していた という。
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