椰子の実日記【JOYWOW】
2003年03月15日(土)
ブックストアで待ちあわせ
私の宝物。 1983年10月28日水曜日、大阪の紀伊国屋書店 梅田店で買ったというメモが奥付に書いてあります。 1983年、新潮社から上梓された片岡義男氏の、アメリカ 本にまつわるエッセイです。雑誌『ポパイ』に連載されてい た楽しいコラムがモトです。本のカタチが変則で、 ブックストアで待ちあわせ を見ていただけば、その独特のスタイルがわかります。
3畳と6畳二間の、狭いせまい尼崎の実家でこれを読んでいた 私にとり、そこに書いてある世界はまるで違う星のできごと でした。 カリフォルニア、ポンティアック、ブックストア。 ガールフレンドとブックストアで待ちあわせ。あり得ない。 ぜったい、自分にはあり得ない世界である。しかし、あきらめずに チャレンジしてみてもいいのではないか。あるとき、ふと、この向上心 というか、無謀な冒険心が、むくむくと胸に生まれてきました。 しかし、実際にアメリカ本土に行くことができたのはそれから8年後、 住むことになるのは17年後のことでした。
ともあれ、遠い、痛いほどの憧れとともにページを繰ったものです。 その後、日本国内だけではなくアメリカも含め度重なる 引越しの際にも紛失しないよう、大事にだいじにしてきました。 だから、アメリカ原体験は、私にとって、この本です。
本書で知った、リトルゴールデンブックスを一時期 50冊は貯めこんでいました。米国へ行くたびに買い、一人 満足していたのですが、その後、米国でもあまり見かけ なくなってしまったのが残念です。あっても本の綴じ代が 金紙ではなくなり、厚紙でできた表紙もソフトカバーになって しまって。
私の英語の先生は、リトルゴールデンブックスでした。この本を テキストに英語塾を開こうかとも考えたくらいです。ある事情が あって、現在は手元から消えてしまったことが、とても残念です。
だからこそ、片岡義男さんのこの本だけは、今後も大切に持ち つづけたいと考えています。自分の向上心の出発点として。
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