株式会社JOYWOW
椰子の実日記【JOYWOW】
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2003年01月30日(木)


『海峡を渡るバイオリン』

バイオリン職人、陳昌鉉さんの話。

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 朝鮮の山にはあまり木が生えていない。
ただでさえあまり生えていない山の木は、
一本でも切れば大人たちからこっぴどく
叱られることになる。切ってもよかった
のは、村の周りに生えているポプラや
アカシアで、これはどれだけ切っても
また育つため、その枝を切ってきては
様々なおもちゃを作った。これは鉄砲
だとか、戦車だとかと自分で勝手に言い
ながら、手製のおもちゃで遊んでいた。
 当時の朝鮮には現在のようなおもちゃ
らしいものはなかった。また子供に
おもちゃを与えるほどの余裕もなかった。
身の回りにおもちゃがなかったからこそ、
子供たちは自分で木を削り作り出して
いたのだ。
 今では、子供の創造力を育むために
おもちゃを買い与えるというが、はた
してこれがどれほどの効果をもたらす
のだろうか。むしろ、あえておもちゃの
ない状況を作り、自分で工夫させる。
そちらのほうが、よっぽど創造力が
養われるのではないかと思うのだが。
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*陳昌鉉=語り、鬼塚忠・岡山徹=聞き書き
『海峡を渡るバイオリン』(河出書房新社)
p.19-20から引用

文中「当時」としているのは1930年代
前半のことです。

何もないからこそ、創造力が育まれる。
大賛成です。ハリウッドの、CGを駆使した
「大作」に胸を打つコンテンツがなかなか
生まれないのも、これと底でつながっている
と思います。引き算で生きることとも。

 

Kei Sakamoto |株式会社JOYWOW