椰子の実日記【JOYWOW】
2003年01月28日(火)
思い
----------------------------------------- 指揮という仕事は、オーケストラの真ん中 でカッコよく両手を振っている商売と思われ ているが、あの動作は、水面に出ている氷山 の一角なのである。 指揮とは目の動きだとか、顔の表情だとか レッスンだと言ってきたが、これだって氷山 の水面上の一部分なのだ。水面下の圧倒的な 大部分は、スコアの分析である。つまり、音 楽の勉強だという、実に月並みなことになる のだ。 その上で、自分が再現したい理想の演奏を、 ひたすら「思う」のである。 指揮とは、この「思い」だけだと言ってい いだろう。実は、振り方なんて、どうでもい いのだ。自分が表現したいことが、指揮台の 上で逆立ちすることでしか表わせないなら、 そうすればいい。 結局、「指揮法」なんていうものは、存在 しないのだ。「表現」なのである。そして、 「表現」は、特別な「思い」があるからなの だ。 ---------------------------------------- 名指揮者、岩城宏之さんの言葉です(*)。
バンドで歌うとき、「words」を「ワーズ」と 伸ばすのか、あるいは「ウォズ」と音符にぶ つけるように発するのか、それは曲の解釈に 拠ります。さらに、バックで音を刻むギター にボーカルをぶつけるのか、乗せるのか、 によっても違ってきます。
そう、これもまた、「思い」なんです。
それなしにリズムと音程だけを追ってしまう と、伝わらないんですよね。え、何が? 「思い」です。おっと、話がにわとりとたまご ですね。 ミック・ジャガーが歌の秘訣は「どれだけ気 持ちを表現できるか」だと一言で言っていま した。カタチではないんですね。
*指揮のおけいこ、文春文庫
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