椰子の実日記【JOYWOW】
2003年01月18日(土)
「上海から来た女」
1948年。米国。オーソンウェルズ。 最初に観たのは78年、大阪の三越劇場。三越百貨店の 最上階に小さな映画館があって、レトロな、いい雰囲気 でした。 昔の女優はなぜあんなに完璧に美しいのでしょうね。 リタ・ヘイワースは白黒の粒が輝いています。
この映画の見所は、やはりラストシーンです。あの幻想を 際立たせるため、それまでのたんねんなディテール描写が 生きてきます。舞台設定が非日常的であるがゆえ、細かい ディテールに凝っています。 ラストシーン直前の裁判所の描写。くしゃみやせき、といった 「人間的」なしぐさを、くどいまでに描いています。観ている と「なんでこんな動きがあるのだろう。何かの伏線かなあ」と 不思議なのですが。また、京劇の劇場内での煙草の煙。 あれもまた、人間の体臭を描いています。
CGなど、まったくない、それこそ「人間サイズ」の描写。 だからこそ、ラストシーンでわくわくする。
何が実で、何が虚かわからない。このテーマは、後に ウェルズはもう一度取り上げます(『Fake』)。
私は、大学の卒論『共同幻想論』で、この映画のラスト シーンを、引用しました。
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