虹色過多想い
2005年09月06日(火)  君の腕の中で祈る

カバンにはいつも文庫本を1冊入れて持ち歩いている。
あたしはバスや電車の中で本を読むのは苦手で(乗り物酔いしやすいから)、滅多に乗り物の中では読まないんだけど、それでもちょっとした時間にと思って持ち歩いている。

先週の土曜日、角田光代の「空中庭園」を買った。
角田光代は今まで数冊読んでいるけど、大しておもしろいとは思わなかった。
でもこれはよかった。
おもしろくって先が気になって気になって。
バイトの通勤時間に読もうと思ってたのに、バイトがお休みの2日間の内にお家で読んじゃった。
家族をテーマにしたお話。
10月に映画化されるんだって。
あたしは恋愛小説好きな割に、家族をテーマにした小説にもすごく惹かれる。
村上龍の「最後の家族」(これはあやや、赤井秀和、吉沢悠くん達が出てドラマになってたよね。あたしはドラマは見てないけど)も好きだし。

今日のカバンのお供は佐藤真由美の「恋する歌音」
万葉集時代から現代までの短歌に佐藤真由美がエッセイと自分の歌を載せたもの。
短歌ってのは何度読んでもいいので、もうこの本を何度と読んでいる。
読むというかふとした時に本を開くという感じかな。

ベッドの上で、恋人に腕枕をしてもらっている時に思い出す短歌がある。
 わたしのようなものでも大事にしてくださる 
                 あなたといるうち いつか死にたい

これは林あまり(坂本冬実の「夜桜お七」の作詞をした歌人)の歌集「ベッドサイド」からの掲出歌として「恋する歌音」に載っている。
幸せ過ぎる瞬間、永遠を願う瞬間にはいつもこの歌が頭に浮かぶ。
死にたいわけじゃないの。
心中を願う歌でもないの。
いつだって今が永遠に続くことを願ってる。
だけどいつもどこかで不安だから。
喪失の可能性は潜んでるから。
だから、あなたといるうちいつか死にたいになる。
そうしたら幸福なまま終われるから。
この短歌について、佐藤真由美は「愛することは、祈りに似ている」と言っている。
あたしもそう思うよ。
だからうまく言えないけど、幸せな瞬間を紡ぎたいと、未来へ続くようにと祈るような時は、林あまりのこの歌を思い出すんだ。

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