痒痛 ☆ 日記 
お酒と音楽と変人と。菫色の日々。

2007年04月05日(木)  花冷え

ご心配をお掛けしましたが、無事お花見はできました。
しかし日が暮れてからは寒くて花の下でお酒は飲めませんでした。
心のお姉さまと自転車で、谷中の墓地をぶらぶらしたのです。
谷中の桜は、上野の桜より古いのか、幹が太くて立派です。
墓地でも桜の時期だけはここも宴の地。
墓場内(墓石が並んでいるところ)でのお花見は禁止されているので、
みなさん大抵は、街頭があって明るい車道の端や小さな公園で飲み食いしているのですが、
桜をもとめて墓場内の狭い小路を進んでいくと、
ところどころにポツリポツリとある街頭の灯だけの薄暗ーい中、
ふと足元をみると人がしゃがみこんでビールなんか飲んでいたりして笑えます。
こちらの暗い墓場花見はたいてい一人か二人。
仕事帰りのおじさんがワンカップとサキイカをもって、
見知らぬひとのうちのお墓の置き石なんかに勝手に腰をおろして黙って飲んでいる。
どこかの由緒ある家かなんかの、敷地の広い墓の入り口では、わたくしの両親くらいの年頃の夫婦が、
買ってきたから揚げやゲソ揚げや焼き鳥のパックを広げ、黙ってビールを飲んでいる。
ものすごく寒そう。
そしてものすごく、楽しくなさそう。
きっとなんにも話すことなんかないんでしょう。
でも、この夫婦のどちらかが、
「桜も終わりだからちょっと谷中でもブラブラしてみるか。」
(たぶんお父さんが言い出したのではないかと思われます。そしてお母さんは別にいきたくはないけれど)
「そうですね。」
行きがけにお惣菜屋(谷中にいっぱいある)の前を通りかかったお父さんが、
「なんか買ってくか。」
とか言い出して、お父さんという人種はバランスというものを考えないから、
揚げ物とか鶏肉とかやたらかぶって似たようなものになる。
そしてお父さんというのは野菜やヘルシーに興味がないからやたら肉々しく茶色いものばかりになる。
それで
「せっかくだからビール買うか。お前も飲むか。」
とか言い出して、
お母さんはブラブラ桜を見たらすぐ帰ってうちでテレビを見ながらあるものでご飯を食べようと思っていたのに、なんだかこんなことになって、
それでもってお父さんは昔風に照れ屋だから、ひとがいっぱいいる明るいところで、
お母さんと二人、いそいそと食べ物を広げたりできなくて、
しかも思いつきだから敷くものも持ってなくて、
「あっちの方はまだ満開だな。」
「この辺静かだな。」
「ここなら座れるか。」
なんて流れで他人のお墓の入り口の段に腰掛けたりして、
ビールをあけてお惣菜のパックも広げてみたけれど、
別にもう話すこともないし、結構ひとも通るし(わたくし達のように)、
そのたびに見られているようでお父さんはますますなにやら恥ずかしく不機嫌になり、
そのまま30分もしないうちにお父さんがビールを飲み終えると、
お母さんは3口くらいしか口をつけていないけど、
「帰るか。」
「そうですね。」
ってことになるんだろうと思います。
いや想像だけど。

それでも「行くか」って言い出したり、「そうね」って一緒に来たり、
なんだか幸せそうには見えなくても、それでもずっと一緒にやってきたんだなあ、
と、ちょっといいなと思ってしまったのでした。
これでお互いにもう少しなにか話すことがあればねぇ。
いや想像なんだけど。


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