軽く緊張しています。 生まれてから一度も もんじゃ を食べた事がない大阪人に、 「おれがホンマモンのもんじゃ食べさせたる!」 と大見得をきってしまったからです。
ほんとうのことをいえば、もんじゃ は、わしら下町っ子にはソウルフードであって、 あたりまえにあった食べ物だけれども、別に名物とか美味いものというわけではなく、 (いや、子供にとってはすんごく美味しかったけどね。そしてジャンクフードの常としてくせになる。) ただの、貧乏おやつなんだけれども。 しかし、昨今の700円も800円もするもんじゃには、以前から首をひねっていたことと、 お店の方がおせっかいにも作ってくれるもんじゃには、パンチが足りない、と感じていたので、 せっかく人生はじめて、そして最後かもしれないもんじゃ体験をするのならば、 真のもんじゃソウルを持つ、5円もんじゃを知っている人間として手を上げずにはいられなかったのです。
もんじゃ とは、 ・小麦粉(時代的にはうどん粉と呼んでいた)を水でサラサラに薄く溶く。 ・キャベツの千切りを混ぜる。 (金銭的事情でもやしの場合もあるが、加熱すると水がでるので、できあがりの味はキャベツに劣る。しかし同じ値段ならばもやしの方がカサが大きくなるので、男の子はあえてもやしを選ぶ子もいた。) ・揚げ玉ぱらぱら(たぶん蕎麦屋か惣菜屋からただでもらったもの) ・ウスターソースを、なめてみてしょっぱいと思うまで入れる。 ・小さなはがし(へら)で混ぜながら、鉄板で焼く。 ・初心者はほんとうに火が通っているのか疑問に思うだろうが、ゲル状になったら食べる。
以上、基本形。
この食材からいえば、小さな湯呑み(玉露用くらい小さいの)の椀一杯、5円の時代があったことも納得してもらえるのではないかしら。 でもメニューにあるのは知っていても、さすがに5円もんじゃを頼んだ子供は見たことがない。 私の時代で、大抵の一般レベルの子供は50円(大き目のごはん茶碗くらい)でした。 他の駄菓子でお金を使ってしまった時やトッピングに凝りたいときには30円(味噌汁椀8分目くらい)。 小学校高学年のお兄さんが、100円(ラーメン丼)を頼んでいると、憧れと羨望の眼差しが集まったものでした。 基本形というからには、当然トッピングも様々?あります。 干しエビ・キリイカ・紅しょうが それぞれ一つまみ10円。 キャベツ・もやし 増量10円。ミックスOK。 揚げ玉増量 5円 じゃなかったかな。 生卵・・・20円だったかなー。 そしてそして、エビやイカを我慢してでもみんな入れたトッピングの王様は、 ベビースターラーメン(5〜10円 小袋・大袋)でした。 たぶん私達の前の時代は、みなユルユルのゲル状のもんじゃと、ゲルを剥がしたあとの、 パリパリのセンベイ(鉄板についた焦げ)を食べて満足していたのでしょう。 しかし、私達の年代は、誰が考え出したのか、ベビースターラーメンを投入することによって、 ・まとまりやすさ(もんじゃは小さなはがし=へらだけで、調理し、はがしに強くなすりつけて口にもっていく。初心者は鉄板からすくうことも難しい) ・噛み応え ・かさ=満腹感 を手にいれたのです。
後の私の経験からいえば、もんじゃ にはナマモノはあいません。 乾物が水でふやけた状態が食感的にも、ソース一本の味付けにも一番あいます。 ゲル状のベースに浮かぶ生のエビやイカ、明太子はどうでしょうか。 ただの濃いソース味の魚貝類です。 そんなもの美味しいでしょうか。 それから、高学年のお兄さんたちは当時のステイタスでもあり、動物性蛋白質をほしがる年代でもあり、 やたらと卵をトッピングしていましたが、 私的には、卵はもんじゃのゲルを凝固させてしまい、味わい・食感ともに別のものに変えてしまう素材と思っております。 初心者にはおすすめしません。 麺類ですが、いまお店で「そばもんじゃ」とあれば、それは中華めんのトッピングのことです。 当然、短く切ってはありません。 小さなはがしで、これを食べるのはたいへん難しいです。 そして、この麺は汁を吸いません。
そこでベビースターラーメンなのです。 もんじゃは、焼けたソースの味を味わうものです。 ソースを吸った、乾物や乾麺をうどん粉のねちゃねちゃにまみれたキャベツ(もやしでもいいけどさ) とともに味わうものです。 ナマモノと同じように、汁を吸わない中華麺にかんして私の首は横に振らざるをえません。 しかし、現在のベビースターラーメンは、味付きです。 チキンとか、カレーとかそのままスナックとして食べられるかなり濃い味とフレーバーがついています。 実は私の子供時代には、まったく味のついていないものが売られていたのです。 小袋にパックされていましたが、あれは単に袋入りのインスタントラーメンを細かくくだいたものでした。 まあすでに、もんじゃ用以外に買う人はいなかったけどね。
私達が小学校中・高学年になったときには、自宅にホットプレートを持つ家が少なくありませんでした。 そのため、我らは混んだもんじゃ屋へ行くよりは、と友達の家もちまわりでもんじゃパーティーをしていたのです。 もんじゃ屋とは、お好み焼き屋さんではなくて、駄菓子屋の土間の一画に畳をのせて、ひとつの鉄板台をすえたものです。 だから当然、もんじゃ台は相席です。 6年生の男子が4〜5人もいると、少なくとも1時間は誰も近づけませんでした。 そんなわけで、みんなで100円づつ持ち寄れば、キャベツを買って、小麦粉を買って、ソースを1本買って、揚げ玉をもらってきて、 お金に余裕があればキリイカを買って来て、 2〜3時間は、4〜5人でもんじゃを胸焼けがするほど堪能できることに気がついたのです。 その時に絶対に忘れてはいけないのは、さっぽろ一番のラーメンとビニール袋でした。 この頃には、味付きのベビースターラーメンが売られていて、ベビースターといえば、味付きがあたりまえになっていましたので、 もちろん私達はもんじゃの具にこの味付きベビースターも試しました。 でもまずいのよ、これが。 むやみに塩辛くなり、ソース以外の変に科学的な味が全体に溶け出し、食べられた物ではありません。 結論として、味のついていないベビースターが手にはいらなければ、袋のインスタントラーメンを細かく砕けばいいのだと、私たちは学習しました。
そんなわけで、「今日もんじゃしよう!」 となれば、スーパーにいって上記の食材を買って来て、 キャベツを千切るものあれば、ビニール袋にいれたラーメンを砕くものあり、 うどん粉を鍋にサラサラに溶くものありで、家庭科の時間よりもみごとなチームプレーでした。 そして肝心のソースでしたが、これは全員での味見です。 とにかくここが肝なのです。 生の水にうどん粉を溶いたものにたぶん皆さんがびっくりするくらいソースをダブダブ投入し、 みんなで、それをスプーンですくって舐めてみる。
この経験から私は、もんじゃは自分でソースを入れ、焼く前に味をみなければ納得した仕上がりにはならないと固く信じています。 お店のひとにまかせるのがイヤなのはここなのです。 みんなソースが薄すぎるんじゃー。パンチがたりないぜ。 薄いソース味のドロドロしたものを誰が美味しいと思いますか!? 生でなめてみて、しょっぱいと思うまでソースをいれなければ絶対にダメ!
はーはーはー。 サラッと日記を書いて寝ようと思っていたのに、やっぱり熱く語ってしまった。
ほんとうに、別に食べた事ないひとに強くおすすめするものでもないと思っているのです。 でも今までに山の手っ子に、 「一度お店で食べたものより断然おいしい〜。」 と当然ですが、何度もほめられていること、 そしてこちらは、関西風も関東風と全然ちがって美味しいね、 と素直にそう思って口にするのですが、 いままでの経験では、西の方は、同じようなものがあると、 「関東のはまっずい。」 西にはないものだと、 「こんな気色わるいもん食べられへん。」 と言われ哀しい思いをしたことが何度もあるので、 そういわんといっぺん食べてみぃ と言ってみたくなったのです。
でもそんなに自信ない。 もんじゃ。 それはそんな食べ物です。
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