一人暮らしの隠れ家。 一人で本を読んでいる時、 PCに向かっている時、 11時のニュースをみている時、 ベッドサイドの灯りをつけた時、
そこには小さな気配がある。 同居人のもんちゃんだ。 彼は黒い小さな蜘蛛。 もうずいぶん長いことこの部屋にいる。 なにを食べているのか。 きっといやな小さい虫を食べてくれているのだと思うようにしている。 彼はわたしを恐れてはいない。 誰もいない暗い部屋ではどこにひそんでいるのか。 わたしが帰り 灯りをつけ、よっこらしょ と落ち着いた頃に、そうっとあらわれる。 そうして近づいてくる。 お互いに触れない程度の距離をキープして、わたしがPCの前にいれば、 モニターをこそこそと這い上がり、 わたしがベッドにいると布団のうえにそっと上がってくる。 理想の同居人だ。
好き嫌いは少しのバランスだな ともんちゃんを見ていてそう思う。 彼の足がもう少し長かったら、 彼のおなかに赤い斑紋があったりしたら、 『わたしの部屋からでていってください。』 と彼をつまんで窓から追い出したと思う。 もんちゃんは、黒くて足が短く まるっこいのだ。 そして動きが静かだ。 彼は蜘蛛であって昆虫ではないので、足は4組 8本ある。 6本しかない昆虫にくらべ、8つの足でなめらかに動く。 カサカサと音をたてたりしない。 どんな凸凹にでも対応できるすばらしく制御されたキャタピラみたいだ。 短い足には柔らくて短い毛がはえている。 その足を複雑に動かしてそうっと壁をつたって遊んでいるようにしているのを 見ているのが好きだ。
彼は物音をたてない。 大きさも1cmくらいだ。 でも例え視界の中にいなくても彼の気配はすぐにわかる。 「いたんだね。」 と口にだすととても安心する。
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