痒痛 ☆ 日記 
お酒と音楽と変人と。菫色の日々。

2003年07月13日(日) 雨の日曜日

しとしとしとしと。
洗濯したかったな。でも、いやじゃない。
本を読んで、お茶を飲んで、涼しかったからせっかく買っておいたスイカも今日は食べない。
おにぎりを買ってきて部屋の中でピクニックだ。
これは机はあってもお膳がないからいつもだ。
ビールも買ってこよう。最近は梅干をおつまみにするのがお気に入り。
ふさわしい映画でもみようとビデオ屋さんへ。
ありました、こんな日のための映画。
「ぼくの伯父さんの休暇 Les vacances de M.Hulot」
ずっと前にamiに面白いといわれて いつかこんな気分の時にみようと思って長い時がすぎてしまった。
でも、何度もビデオを手にとって棚にもどしていたんだ。見たいようなそうでもないような。
今回は迷わずレジに持っていったので、今日が見るときだったのでしょう。

で、面白かった。
ひとりで映画をみていて声をだして笑ったのはひさしぶり。
どたばたなんだけどね。ほとんどセリフのない、コメディ。しゃべりまくるのはインテリ左派の学生?のみ。
とても細かく笑わされる。丁寧だ。
音楽はテーマ曲とテーマその2のジャズの2曲だけ。あとは波の音。
不器用で変人のユロ氏の海辺での一夏。
べつに彼は誰の伯父さんでもありません。
海辺のホテルに集まってきたバカンス客たち。毎日おなじ面子で同じ時間にご飯を食べて、毎晩ロビーでそれぞれラジオの終了時間まで時間をつぶす。

画像は白黒だけれど、もう海なんです。それも、わたしが小さい頃に海水浴にいったような小さな砂浜のある小さな浜辺のまち。リゾートじゃないの。小さなホテル、小さな土産物や、毎日くるアイスクリーム屋、貸し馬屋。
浜辺で体操するひと、朝昼晩と一日中夫婦で浜辺を散歩しているひとたち。
たぶん第二次大戦の前の情景なんだろうけど、みんなが丁寧で挨拶ばかりしている。
これは毎晩みんな部屋にかえらずロビーで顔をつきあわせていることと同じで、社交ってことだよね。これがなかなかわたし達にはできない。つい部屋に閉じこもってしまう。いいな、と思うけれども善し悪しで、眠るときを除いていつも他人とお付き合いをするのは疲れる。でも旅をしていると他人を無視していつも一人でいると変に思われる国が多いよ。
変人のユロ氏もちゃんと社交しようとするのですが・・・

一度だけ、じわっと涙くんがきたのは、ホテルの仮装パーティ。
ホールに色紙の輪飾りをかざりダンススペースをつくって会場は準備できているのに、いるのは子供だけ。と、つきそいの母。壁沿にならべた椅子はガラガラ。
おとな達はいつものようにロビーでいつものような晩をすごしている。もしかするとラジオでその晩、
「現在の社会状況(おそらくナチスや戦争回避やその頃のこと)を理解してほしい。」
と首相の演説が流れたからかもしれないけど。
ドレスアップしてやってきたヒロインのお嬢さんも、会場をながめて、つまらなそうにつま先をみつめる子供達をみて帰ろうとする。
そこになんにも、会場にひとがいないことも、ロビーに流れるラジオ演説も、帰ろうとしてるお嬢さんにもなんにも気付いていないユロ氏が海賊の格好でやってきてレコードをかける。
そうしてお嬢さんと踊るんだ。
それを夜の散歩中の老夫婦の片方、おじいさんが窓から楽しそうに眺めている。片割れのおばあさんはそんなおじいさんに気付かない。
なぜだかそこでじんわりきました。
みんな踊ればいいのになあ、って。

そうして夏がおわりみんな帰っていきました。ユロ氏は最後に花火小屋をもやし、ロケット花火をホテルやお嬢さんの下宿にぶちこんでしまい、滞在客みんなに無視されていたけど、最後にスポーツウーマンのイギリス人のおばあさん(テニスでユロ氏の容赦ない、楽しく社交的なプレイなんてしったこっちゃない試合振りに、誤解だけれど気に入られた)と窓からダンスをながめていたおじいさんだけが、楽しい夏だった、と挨拶してくれる。
あれ、お嬢さんは?と思っているうちにおわり。
そして波の音。

みなさんも素敵な夏をすごしてください。


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