Kin-SMA放言
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2004年09月23日(木) 今さらだが『僕カノ』と『クレイマー・クレイマー』を観比べてみた

『僕と彼女と彼女の生きる道』を、レギュラー時代に観てなかった知り合いが、こないだのスペシャルだけ観て、何から何まで『クレイマー・クレイマー』のパクリだと酷評した。

そうね。設定はすぐ「そっくりさん」とわかりますよね。

でも、「パクリ」っていうようなもの? ストーリーは違う気がしたけど。

ぼくは『クレイマー〜』、あまりにも昔に(しかもちゃんと映画館じゃなくテレビの『なんとかロードショー』で)観たっきりだったため、記憶違いかなと思って、思い切ってレンタルしてきた。

仕事人間の夫に愛想を尽かして、子供を置き去りにして出て行った妻が、夫がやっと父親らしくなった頃に帰ってきて、子供を取り合って夫が裁判で負ける──こう書いちゃうと確かにまるっきり同じ。

でも、ディテールはぜんっぜん違う。もちろん、当時のアメリカと今の日本とじゃ「仕事人間」の形も違うだろうし、夫婦を取り巻く環境も全然違う。

だけど、なんつってもラストシーンが(未見の方のために書きません)

70年代アメリカンシネマの名作(アカデミー賞5部門受賞)に文句をつけるつもりは毛頭ございませんし、たった105分の映画と3ヶ月間じっくりやったテレビドラマとじゃ、きめの細かさに差が出るのは仕方ないと思うが、今のぼくが観たところ、圧倒的に『僕カノ』の方がぐっとぐっとぐっときた。

つうか、『クレイマー〜』って、けっこうさらっとした味わいの映画なのよ(ぼくにとっては)

ダスティン・ホフマン(大好き!)が、上手いんだよなぁ。変に力んでなくて(ツヨぽんも力んでないけどね)

子役のジャスティン・ヘンリーは、世間が評価するほど可愛いとは思いませんが(100%好みの問題だが)、上手いことは上手いね。ケガするところなんか、ホントに「あぁ〜っ!(T△T)」ってなりました、ぼく(←完璧感情移入してるし)

親権を決める審判でのやりとりなんてのは、『クレイマー〜』はあからさまに偏った描き方をしてたので、ここらへん(実はここをほっとんど覚えてなかった)は、当時も今も日本人には「・・・」な感情を呼び起こす感じがした。

ところが、実はこの審判の場面こそが、この映画の眼目だったらしい。タイトルの『クレイマー・クレイマー』は原題では『Kramer vs.Kramer』──つまり、“クレイマーさんとクレイマーさんの案件”という裁判用語らしいんですな。同じ名字の人が対立する・・・つまり離婚や親権決定に関する案件、という、家庭崩壊が一般的になりつつあった当時のアメリカの社会問題を端的に表した秀逸なタイトルです。

うーん、今さらだけど観て良かった。


←つうか、やっぱ「食い物」なのかよ!(自己ツッコミ)



まぁ、有名なシーンですからね(^^ゞ

あと、顔の下半分がアゴになる(笑)ダスティン・ホフマンの笑顔がステキ(*^^*)

メリル・ストリープもめっちゃ上手いし。

ただ、要所要所で気持ちいいほど泣けるのはやはり『僕カノ』の方ですね。これはぼくが日本人だからかもしれないけど。

あと、ここが一番違ってて、だからこそぼくは『僕カノ』の方が好きだな、と思ったのが、『僕カノ』の終わり方が、“都合が良くなかった”ってとこ(ほろにがテイスト)

悪いけど、ぼく的には『クレイマー〜』の終わり方は、

「えっ? そ、そんな都合のいい(未見の方のために書きません)」

って感じだったんで(演出は美しかったけど)

ぼくと違う見方をした方もいらっしゃるかも知れませんが。

同じテーマでもね、国や時代が違えばそれだけ違うし、作り手が違う価値観を提示したいと思っていればおのずから内容も変わってくるわけで。

同じ設定から出発してるからって、一言「パクリ」で終わられちゃったらねぇ・・・(甘い?)

逆に、すぐ「あれか?」ってわかる有名作と同じ設定に挑むっていう点では、「パクリ」どころか「気概がある」と評価してもいいんじゃないかと思うのだが。

『ライオンキング』が無罪(?)になったのも、そういうことらしいし(ぼくは逆に、『ライオンキング』無罪は解せない)

『僕の生きる道』も『生きる』のパクリだと言われていたが、これこそ「黒澤トリビュート」だろう。ただ、できれば「トリビュート」だって謳った方が潔かったかなと思うんだけど。権利問題とかあってややこしいのかな?

思ったより長くなってしまった(−−;)この件についてはいずれまた。





本日は木挽町でございました。超特急で覚え書き。

『九月大歌舞伎』夜の部(歌舞伎座)

昼夜に五世中村福助七十年祭追善狂言が配された今月、成駒屋一門が上は76歳から下は3歳まで( ̄□ ̄;)勢揃いいたしております。

「重の井子別れ」

その、76歳の神谷パパ(中村芝翫)が重の井、三吉が国生(くにお・橋之助の長男)

国生、でかっ(◎_◎;)

8歳の体格じゃないれす(×_×)一体何を食わせてるんだ三田寛子〜!←大きなお世話

三吉は、数ある歌舞伎の子役の中でも、とってもやりがいのあるいい役。お父さん(橋之助)はこの役で「名子役」の名を不動のものにしたらしい(ぼくは観ていない。残念)

芝居の方は、まぁ、8歳だったかなと。

一方“いやじゃ姫”をやった佳奈(福助の長女)は、普通に子供子供していてカワイかった。


「男女道成寺」

今月の主役(笑)宜生(よしお・橋之助の三男、3歳)とぉじょぉ〜!

ロボットみたい(≧∇≦)

当たり前だけど、児太郎(福助の長男、10歳)が大人に見えるのなんの(^^ゞ

もひとつ児太郎がすごいなーと思ったのが、所化が手ぬぐいを客席に投げる時に、ひときわ強肩だったこと(小学生のくせに!)。野球が大好きらしい。

肝心の踊りは、ハッシー(橋之助)がいい感じに中年になってきて(褒めてます)、色気が出てきた(*^^*)いわゆる「脂がのってきた」

フク(福助)の方は、むしろ“ぎじゃぎじゃ”した感じの踊りで、なんか、あまり好きな感じじゃなかった。


「宇都谷峠」

なかむら屋(勘九郎)の早替わり(序幕7秒ですよっ! ダンナ)にも例によってびっくりさせていただいたが、やっぱなかむら屋と三津五郎が組むと、それだけで見応えがある。

因果が因果を呼ぶ黙阿弥の傑作。

でも、正直ちょっと疲れた。1時間ものを2本観た後の2時間上演はツライっす(−−;)



筋書をパラパラ見てて、今月御園座の海老蔵襲名興行が、なんと東京ではやんなかった『源氏物語』だったことを知り愕然(T△T)新之助時代にやったやつですけどね

3年前のぼくだったら、絶対行ってたな(もう、日程的にムリ)

来月の松竹座がこれまた・・・これは行きたいかも(まじ?!)

そうか。4年間ジャニオタを休んでたのに、ぜんっぜん金が貯まらなかったのは、そういうわけか(今さら!)

博多座が福岡ドームに、松竹座が大阪城ホールになっただけだからな( ̄  ̄ )←遠くを見るな!

南座も長いこと行ってないなー(よせ、ヤメロ)

とか言ってるうちに、『どんなもんヤ!』聴き忘れるし(ま、まずい・・・)




←まぁ、いいか・・・(愛情薄)



さ、明日は久々お仕事だ。


ておどる 【2006年以降に書いた日記はこちら】てくてくミーハー道場