直腸検診2
2011年11月09日(水)
続き書いた!
なんか公私ともに忙しくなっちゃって、ゆっくり書いてる暇がないのですが、電車の中で、ノリと勢いだけでぐあーっといきました。 後ろから覗かれていない事を祈ります。 もうちょっと落ち着いたら直すかもです。
話が全然進まないなあ。 そして、更に下品に、更にエースが残念な事に。 おかしい…当初は、エースがケツに指突っ込まれながらも、ハニー、次は俺が君の中を隅々まで触診してやるよ、的なキャラになるはずだったのに。
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ここは白鯨商事営業部営業推進課。 ヒラ社員、ポートガス・D・エースは、仕事もせずに自分のデスクに頬杖を付き、ボールペンを上唇と鼻の間にはさんで、その視線を宙に彷徨わせていた。 「はあ…」とため息を吐く。ボールペンが落ちるカツンという音にも気付かずに、デスクに突っ伏す。あの健康診断で美貌の泌尿器科医に一目惚れをして以来、エースはずっとこんな調子であった。 ああ、あの奇麗なサンジ先生が、今日も脂ぎった屁の臭そうなオヤジのケツに、白魚の様な指を突っ込んでいるかと思うと、もういても立ってもいられない。 実はエースはあれから毎日、仕事終わりにあの病院を訪ねていた。しかし、なまじ小さな診療所で入院設備も無いため、一般人が潜り込みにくいのだ。仮病を使って受診しに行こうかと思いもしたが、これまで病気などした事の無いエースには、仮病をどう演じればいいのかさっぱり見当もつかなかった。丈夫すぎる自分が憎い。駐車場の辺りをウロウロして出待ちもしてみたが、流石に長居は出来ないし、監視カメラもあったから、下手すると不審者として通報されかねない。 あの時は痛さのあまり半泣きだったけど、今となっては、あの繊細な指がもたらした痛みがあっというまに癒えてしまったのが切ない―――などと、エースは間違った方向におセンチになってる自分に気付いてもいない。 あの時、サンジ先生は、そういう―――つまり、エースみたいに言い寄って来る患者は多いと言っていた。吊り橋効果がどうのとか、分かる様な分からない様な事を言っていたけれど、絶対に彼は間違っている。だって、親にも、下手すると彼女だってそうそう見せない玉裏もケツの穴も全部晒すのだ。あなたと私は他人じゃないのよ、もうどうとでもして、どうとでもさせて、となるのは目に見えている。てゆーか、あのサンジ先生に、ケツに指突っ込ませるなんてセクハラだろう! それがサンジ医師の職業なのだが、エースの頭の中では、脂ぎった親父がサンジにアナルプレイを強要している図が出来上がっていた。うっかり激しく勃起もしていた。 「いよう、勃起青年!」 突然今の己の身体の状態を言い当てられて、エースの心臓がドキーンと跳ねた。慌てて振り返れば、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべたサッチが立っていた。 「………誰が勃起青年だ」 まさしく今、俺勃起してるけど。 「お前だ、お前。いやー、もうおじさんびっくりしちゃった。あなたを見て勃起しました!とかいきなり初対面の相手に自己申告しちゃうんだから」 ムカつく。どうやら先日のエース入魂の告白は、病院中に響き渡っていたらしく、エースは「勃起青年」なる大変不名誉なあだ名を頂戴した。もちろん、命名はサッチである。この間は「お婿に行けない」とか半べそかいてたくせに。 「おい、勃起青年」 プルプルと屈辱に震えるエースの頭に、ぱこんと軽い衝撃。 「だから、それやめろって!」 があ、と吠えた相手は、諸悪の根源、総務部長マルコ。まあ、彼のおかげでサンジに出会えたのだから、ある意味エースにとっては大の恩人なのだが。 「なーんで今更恥ずかしがるのよ、お前が自分で言ったんじゃんなあ、マルコ」 「全く、うちの社の恥を晒してくれるよい」 「………ほっといて。てゆーか、何?」 完全にブスくれているエースに、ああ、そうそう、とマルコが暢気に言う。 「お前、尿にたんぱく下りてたってよい」 「え、マジで!?」 なんだかよくわからないけど、もしかしてヤバい病気とか?と焦るエースに、サッチはニヒー、とまた嫌な笑みを浮かべて肩を組んで来る。 「たんぱくってさー、前の晩にオナニーすると下りるって言うよなー」 「してねーよ!」 勃起青年の上に、オナニー野郎の汚名を着せられてはたまらない。俺は無実だ、少なくとも検査前日はやってない。 そう、エースはたまたま無実だった。おそらくは、翌日に健康診断がある事を忘れ、朝にステーキサンド、昼に牛丼、夜に焼き肉食べ放題と、肉ばっかり食ったせいであろう(少なくとも作者はそうだった)。 まったくこのオヤジ達、昼間っから会社で勃起だのオナニーだの、うちは女子社員の極端に少ない会社だからいいようなものの、下手するとセクハラで訴えられるぞ。 「再検査だよい」 「え?」 マルコが手にした封筒をエースの目の前でヒラヒラと振る。 「まあ、オナニーのせいなら別にバッくれたって問題は……」 「だから、してねえって……え!?」 ガバッとマルコの手から封筒を奪い、表面に印刷された、ここ数日通い続けた診療所の名前を凝視する。 再検査、という事は……。 「いやったあああああああああーーー!!!」 エースは封筒を握りしめ、握った拳を天に突き上げた。堂々と正面切って、サンジ先生に会いに病院に乗り込んで行く口実ができたじゃないか。 「口実じゃねーよ、行くからに再検査受けろよい」 「泌尿器科行くわけじゃねぇから、あの美人先生に会えるとは限らんだろ」 エースの喜びに水をさす様なマルコとサッチの言葉もなんのその。 「大丈夫!とりあえずサンジ先生の診察日は火、水、木!金曜は午後のみ!その時間を狙って行くぜ再検査!」 「……マルコさん、こいつ完全にストーカーですよ」 「………下手打つ前に、クビにしとくかい。何かあってもうちは無関係ですって言えるしなあ」
さて、待ちに待った再検査当日。 尿検査のみなので、スーツ姿のまま、渡された尿採取用のカップを持って、この間の3番診療室の前をウロウロしてみる。しかし、通りがかった看護婦が手にしたカップを見て、「トイレはあちらですよー」などと親切にー―ーエース的には余計なお節介だがー―ー案内されてしまったため、エースは仕方なくトイレに向かった。 個室に入り、この間の検査の時よりは上手にカップに尿を採りながら(この間はちょっと手にかかってしまった)、さてどうしたもんかと考える。 いっそ部屋を間違えたふりして3番のドアを開けてやるか。いや、しかしそれだと姿は拝めるかもしれないが、そこで終わりだ。今後、なんとしても彼を口説き落としたいと思っている身としては、それは避けたい。 悶々と思い悩みながら個室から出る。丁度その時だった。ドアが開き、男性トイレに入ってきた人物を見て、エースの心臓が多分20センチ程跳ねた。 初めて会った日から今日まで恋い焦がれた人物、サンジ医師その人であった。 目を剥いて自分を凝視しているエースに驚いたのか、彼は奇跡のような青い目をわずかに見開き、は、と可憐な唇が息を飲む。長い睫毛がまるで可憐な蝶の羽ばたきのように瞬いて、ハタハタという軽やかな音すら聞こえてきそうだ。 (て…天使だ、天使) 思わず手にした中身満タンの採尿カップを握りつぶしそうになって、エースは慌てて堪えた。ちょっと手にかかった。 「あああああああのっ、先生!!」 「カップはあちらに」 「あ…………はい」 初っ端から勢いを削がれ、エースはすごすごと医師が指し示す回収棚に採尿カップを置く。ここでへこたれる訳にはいかない。エースはひとつ深呼吸をすると、勢い良くサンジ医師を振り返る。 「あのっ、覚えてますか?この間、前立腺がん検診でお会いした…」 「すみません、肛門を拝見すれば思い出すかと思うのですが」 キラッと銀縁メガネの蔓を押し上げながら、医師はごく真面目な顔で告げた。あ、やっぱそうなんだ、ある意味すげえ職業意識だけど。エースはがっくりと肩を落とす。かくなる上は、ケツの穴を見てもらうしかないか!幸いなことに、ここトイレだし!と軽く錯乱したエースがパンツに手をかけたところで、医師が口を開く。 「再検査ですか?」 「ええ、あのたんぱくが…」 「ああ、尿検査で」 「いやあの、決してオナニーのしすぎではありません!!」 (って俺何言ってんのーーー!!!) 「タンパクは運動のし過ぎや、検査前日に蛋白質を多く摂取しても下りますから、心配なさることはないと思いますよ」 エースの残念な自己申告を華麗にスルーして、医師は淡々と告げた。 「あの、先生!俺、どうしてもお話ししたいことがあるんです!」 「なんでしょう。EDでしょうか、包茎手術をご希望なら…」 「勃起不全でも包茎でもありません!」 「ああ、失礼、かなり深刻そうなご様子だったので」 「ちがうんです!でも、確かに俺は病気かもしれない。あなたにしか治せないんです!この恋という名の…」 「そうですか、では、受付を済ませて泌尿器科を受診してください」 「え、あの…」 「みなさん泌尿器科を敬遠しがちですが、恥ずかしがる事はありませんよ。病状は後ほどお伺いします」 「は……はひ」 敵は手強かった。あまりのスルースキルの高さに、エースは完全に攻めあぐねていた。 いやでもちょっと待て、それはいい手だ。こんなトイレで立ち話でなく、診察室で二人っきりでゆっくり話せるチャンスではないか!そうだ、これは天啓だ。サンジ先生という天使がもたらした神のお告げだ。ありがとう神様!俺、きっとこの気持をサンジ先生に伝えます。絶対に先生を落としてみせます!! 「後ほど伺います!よろしくお願いします!」 深々と頭を下げ、差し出した握手の手は、穏やかな微笑みと共に、またもスルーされた。
ここまで書いといてなんですが……続くのか、これ……。 あ、Wんこさん、再検査にしてみたよ!!ww
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