小咄(?)直腸検診
2011年11月06日(日)
ども、今日は普通のお休み、ガブです。 風邪は回復傾向にあるようです。 そんなわけで、書き始めました、直腸検診。
………あれ?さらっと短く終わらせるはずが、まだイントロでしかない……。 しかも想像以上に下品な話になってしまいました。 これ普通に連載?大丈夫か、あたし。完結させられるのか?
えっと、内視鏡検査がどういう具合かよくわからなかったので、触診です。 エース、あの若さで前立腺がん検査です。 ガブ、前立腺がん検査受けた事ないので(当たり前です)、かなり適当です。おかしな事があっても気にしないで下さいね!
そして、またタイトルでごっさ悩んだわけですが、必死で捻りだしたのが、「お願い!サンジ先生」ってベッタベタなタイトル。うーん、まあそのまんまなんだけど…もうちょっと考えよう。
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「ヤバい、太った…」 「イゾウ、その服お前が着るとなんかエロい」 「ハルタ、身長伸びたかー?」 「うるせえエース!お前は脳波調べてもらえ!」 今日はエースが勤める白鯨商事の健康診断の日だ。いつも会社で顔を付き合わせている同僚や先輩達が、裾の短いラブホのガウンみたいな検査服を来た間抜けな姿で、院内を闊歩している。検査服の丈がほぼミニスカートになっている、ガタイいいジョズや、ボーボーの胸毛すね毛腕毛を晒したビスタなんか、ちょっと正視に耐えないというか、武士の情けで見ないでおいてやろうって感じだ。 いくつかの検査項目を済ませ、長椅子に座って待機していたエースの隣に、同じ営業課の親しい先輩がどさりと腰を下ろした。いつも陽気な彼が、肩を落として妙に憔悴した様子だ。 「…サッチ?どしたの」 「……俺もう、お婿に行けない………」 両手で顔を覆ってさめざめと泣く親しい先輩の姿に、思い当たる所があって、エースは「ああ」と頷く。 「アレか」 「アレだよ!!」 「まあ、サッチくらいの年齢なら、やっといた方がいいんだから」 「だってお前!あれヤバイぞ!どんな羞恥プレイだって…!!」 サッチが涙目でわめき出したところで、院内放送が入る。 『ポートガスさん、ポートガス・D・エースさん、3番診療室にお入り下さい』 「来たよお前、3番だよ!」 「え、3番てアレ!?」 「アレだよ、アレ」 サッチがポンとエースの肩を叩く。 「お前も俺と同じ、いたたまれなさを感じて来るがいいさ」 大げさな物言いに苦笑しながら、エースは立ち上がる。 今年から、白鯨商事の健康診断を請け負う診療所が変更になった。長年依頼していた診療所が、ビルの改装工事のために休業となったのだ。まあ、それはいいのだが、何故か今年から、検査項目に「前立腺がん検査」が追加になった。普通、50歳以上のみが対象とかじゃないの?実は総務部長のマルコの嫌がらせなんじゃないかと、エースとサッチは話していた。もちろん、二人ともマルコに面と向かってそんな事言う度胸は無い。そしてマルコは何故か、今日この場にいない。やっぱり嫌がらせか? まあ、それにしても、サッチのあれは大げさだろう。確かにケツに指突っ込まれるのは男としてアレだが、医療行為な訳だし、しばらくじっと我慢していれば…などと思いながら、エースは3番診療室のドアを開け―――「うっ」と声を詰まらせその場に固まった。 「ポートガスさん、下着を膝まで下ろして、あちら向きに横になって下さい」 事務的な声で、顔も上げずに寝台を指してそう言ったのは、白衣を身にまとった若い医師。きらっきらの金髪に、細い銀のフレームの眼鏡。こちらに向けた横顔は、完璧に整っていた。離れた所から見ても、睫毛がばっさばさなのがよくわかる。だって俺、さっき計った視力、両目とも相変わらず2.0だったし。 サッチが羞恥プレイと言った意味がよく分かった。これはアレだ、盲腸の手術の前に、可愛い看護婦さんに下の毛剃られるとか、そういうレベル…いや、それ以上だ。だって…こんな奇麗な人に、俺これからケツに指突っ込まれちゃうわけ!? ドアノブを掴んだまま、そんな事をグルグルと考えて硬直していたエースを不審に思ったのか、医師が初めて顔を上げてこちらを見る。 その視線に、ずっきゅーんと胸を打ち抜かれて、エースはウッと検査服の胸元を掴んだ。 切れ長の大きな目に、吸い込まれそうな真っ青な瞳、薄く開かれたピンク色の唇。銀縁眼鏡と相まって、その整いすぎた顔は、ややもすれば冷たい印象を与えそうだが、何故かくるんと眉尻の巻いた不思議眉毛が、それを緩和させていた。 ヤバい、俺の好みにどストライクなんだけど……。 「ポートガスさん、ですよね?」 「あ、はいはい!!」 不審気な顔で問いかけられて、エースはようやく我に返った。慌ててドアを閉め、もそもそと検査服の下で下着を下ろしながら、美人医師がカルテに目を落とし、奇麗に長い白い指で眼鏡のフレームを押し上げる様子から目が離せない。 パンツを半分ずり下げて、「えーと」と所在なげに立ち尽くしている間抜けな姿のエースに、医師はまた「そこに横になって下さい」と非常に事務的に指示する。 のろのろと寝台に上がって、医師に背を向けて横たわりながら、それでも背後の様子が気になって、首を回して振り返る。彼の胸元のネームプレートには「サンジ」とあった。ファーストネームっぽいけど、ファミリーネームなのか?サンジ先生かあ〜、などと胸の内で名前を呼んで、ほんわかしているエースをよそに、医師は慣れた手付きで医療用のゴム手袋を装着している。反対の手で裾を引っ張りながら、細い器用そうな指を馴染ませる様に何度か動かす。手首でゴムの立てるパチンという音に、エースは我に返ってビクリと肩を竦ませた。 そんな様子を不安がっていると思ったのか、医師は先ほどよりは少し優しい声で「大丈夫ですよ、リラックスしていればすぐに終わりますから」と言って、お義理程度に口の端を上げると、エースの足下に回り込んだ。 「あ、あのあのっっ!!」 「はい?――あ、横向きの姿勢で膝抱えて下さい」 「は…はい…あの、先生…って、あう!」 べろりと検査服をめくられる。この美貌の医師の目の前に己の下半身がさらけ出されているかと思うと、エースの身体がカッと熱くなった。 「はい、力抜いて」 「いやあのですね……ぅひいっ!」尻の穴にぬるりとした感覚。 「せんせ、俺…っっ!…いって!!」 「大丈夫ですよー、すぐ終わりますからね」 「いだだだだだ」 ぬめりを伴った指が肛門の中に入ってきたかと思うと、おそらくは前立腺であろう場所を指でぐりぐりと探られる。 「ん?」 「ん?ってなんすか先生!?」医者のそんな反応ははっきり言って心臓に悪い。 「いや、ちょっと硬いというか、大きい様な……」 「マジすか!?」 不安になって情けない声を上げたら、おもむろに検査服をめくり上げられた。 「あ…」 「あ…」 医師が覗き込んだのは、エースの股間。前立腺検査で勃起すると聞いた事はあるが、ぶっちゃけエースは指を入れられるまえからフル勃起状態だった。だって、一目惚れした相手が自分の股間をいじくり回しているのだ。そら勃つだろ! 「大丈夫ですよ、前立腺検査の時には勃起状態になる事も多いですから」 しかし流石に相手はプロである。まったく動じる事もなく、逆に宥められて非常に微妙な気持になる。 「完全に勃起した状態ですと、前立腺も圧迫により硬くなります。ポートガスさんはかなりペニスも大きいようですからね」 奇麗な顔で淡々と語られる内容に、一体どんなプレイなんだとエースは胸の内で身もだえた。しかし、エースにとっては大変な羞恥プレイでも、このサンジ医師にしてみれば、ただの医療行為。エースなど流れ作業的に右から左に片付けていく受診者の一人でしかない。このままでは、彼は自分の顔すら覚えていないだろう。職業柄、尻の穴と玉裏くらいは覚えててくれるかもしれないが、再会しても、尻の穴見せるまで気付いてもらえませんでした、じゃ切なすぎる。いや、その前に病院外でそれやったら捕まるから、俺。 「違います!俺は貴方を見ていて勃起したんです!!!」 エースは診療所全体に響き渡る様な大声で叫んだ。どうしても、その他大勢の尻の穴と同じ扱いでは我慢できない。それ程に、自分は衝撃的な一目惚れをしたのだ。 「貴方を初めて見た瞬間から…いだあああああーーー!!!」 丸出しにした尻に想い人の指を突っ込まれた状態での、エースの一世一代の告白はしかし、前立腺部をガンガンと突き上げる激痛に遮られた。 「はい、終了です。ご苦労様でした」 セクハラまがいのエースの発言は華麗にスルーして、あっさりと指を抜くと、サンジ医師は冷静に告げる。エースはあまりの痛みに涙目でプルプルしながらしばらくは動けずにいた。 「あ…あの…」 ようやく起き上がったエースに背を向けて、サンジ医師は机の上の書類に何かかき込んでいる。安っぽい蛍光灯の光を受けて、つやつやと輝く金色の後頭部を見つめながら、エースはぐっと拳を握りしめた。 「俺、あなたに一目惚れしました!今度二人で会ってもらえませんか!」 エースは真剣だった。未だフル勃起状態の息子を必死でパンツに納めながら、ではあったけれど、その告白は狭い診療室に真摯に響いた。 医師が振り返る。検査服の裾を直しながら、エースは彼の反応を待ってゴクリと喉を鳴らす。 「そういう患者さん多いんですよ」 そう言って、サンジ医師は、にっこりと笑顔を浮かべた。それはそれは完璧な、患者の不安を和らげるような微笑み。つまりは医者の営業スマイル。 「男にとってはかなり衝撃的な体験ですからね。吊り橋効果的な、とでもいうんでしょうか」 あまり深く考えずに。異常無しですよ。と完璧な笑顔を貼り付けたまま、サンジ医師は検診表をほい、とエースに渡す。そして、ドアを開けてまたにっこりと微笑むと、エースに二の句を継がせないまま「ビスタさーん、3番診療室にどうぞー」と待合室に向かって声をかけた。 とりつくしまも無いその様子に、エースはうなだれて診察室を出た。入れ替わりに入って来たビスタが、「お盛んだねえ、エース」とクスリと笑うのに首を傾げながら待合室に行けば、まだソファに座ったままのサッチが、真っ赤な顔で腹を抱えて痙攣していた。
続く……か!?
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