Dailyみぅこむ
今日はちょっと本の話を。秋の夜長に短時間おつき合い下さい。
『1000の風』という詩をご存知ですか。 原題は『A THOUSAND WINDS』といい、作者は不明とされています。
私がこの詩を読んだのは、もう3年ほどは昔、小さな本屋でした。 ええ、立ち読みです、あはっ…。
そのころ大学生で時間が有り余っていた私と友だちが、 暇つぶしに出かけた本屋でした。 友だちがお気に入りだというその本屋は 大きな倉庫のような、ガレージのような外観で、 中に入ると60年代のアメリカを思わせるようなポップな雑貨やら えせヴィンテージなジュークボックスが所狭しと店内をうめ尽くしていて 本屋というより雑貨屋。 歩くには足下に気を付けなければならないほどでした。
ひとしきり見て回り、平台に置かれていたその本を、 私はなぜだか手にとりました。
頼り無いほど軽く、小さなその本でしたが、 中に閉じ込められていた言葉は、私のこころを揺さぶり、 決して忘れられない感動と共に、記憶されたのでした。
- A Thousand Winds - Author unknown
Do not stand at my grave and weep. I am not there, I do not sleep.
I am a thousand winds that blow; I am the diamond glints on snow. I am the sunlight on ripened grain; I am the gentle autumn's rain.
When you awake in the morning hush, I am the swift uplifting rush Of quiet in circled flight. I am the soft star that shines at night.
Do not stand at my grave and cry. I am not there; I did not die.
千の風
私の墓石の前に立って涙を流さないで下さい。 私はそこにいません。眠ってなんかいません。
私は千の風になって吹き抜けています。 私はダイヤモンドのように雪の上で輝いています。 私は陽の光になって熟した穀物にふりそそいでいます。 秋にはやさしい雨になります。
朝の静けさの中であなたが目覚めるとき 私は素早い流れとなって駆け上がり 鳥たちを空でくるくる舞わせています。 夜は星になり私はそっと光っています。
どうか私の墓石の前で泣かないで下さい。 私はそこにいません。私は死んではいないのです。
ちょうどその頃私が欲しかった言葉が、この詩には込められていたんでしょう。 今でも時折思い出しては、ここから不思議と力を得ます。
天声人語でも今年の8月に紹介されたとか…(朝日新聞読者なのに知らなかった、悔。) 実際、本だと短い文節に区切られ、見開き1ページごとに、 その文節のイメージに合う壮大な大自然の写真が載っています。 見かけたら、是非、手にとってみて下さい。
以上、秋の夜長に本のお話でした。
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