エンターテイメント日誌

2006年09月12日(火) UDONをめぐる冒険 <後編>

映画UDONには前回取り上げた「山越」「谷川米穀店」「がもう」「中村」「山内」は勿論、「恐るべきさぬきうどん」第5巻に登場し一躍有名になった、瑠美子おばあちゃんの「池上製麺所」など沢山のうどん店が登場する。麺通団も出てくるし、映画で描かれた地方出版社でのさまざまなエピソードは「恐るべきさぬきうどん」にそっくりそのまま書かれている。

で結局、映画UDONで面白いのは実際にあったエピソードばかりで、肝心のオリジナル部分、主人公と父親との確執とか、キャプテンUDONとかが実に通俗的で退屈である。2時間14分という上映時間もこの内容ではいくらなんでも長すぎるだろう。香川県出身である本広克行監督の思い入れの深さが、商業映画としてのバランスを崩している。筆者の評価はC-程度。

本広監督が同じく郷里で撮った前作「サマータイムマシン・ブルース」が傑作だっただけにがっかりした。ただ、「サマータイム・・・」の出演者たちが、その役柄のまま友情出演していたのは愉しめた。所詮内輪受けに過ぎないという感も否めないが。

むしろこの映画は「恐るべきさぬきうどん」の著者であり、うどんブームの仕掛け人・田尾和俊さん(うどんフェスティバルの客として映画にも登場)を主人公とした実録物に仕上げた方が遥に面白かったのではなかろうか?だって一介の地方出版社の発行人が大学教授にまで登り詰めるんだぜ。こんなシンデレラ・ストーリーが他にあるだろうか?正に事実は小説より奇なりである。


 < 過去の日誌  総目次  未来 >


↑エンピツ投票ボタン
押せばコメントの続きが読めます

My追加
雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]