エンターテイメント日誌

2005年06月11日(土) 期待はずれの二本

「ソマリア」
評価:F
韓国のアカデミー賞と言われる大鐘賞で最優秀作品賞を受賞した「春夏秋冬そして春」は面白い映画ではないが、悪くはなかった。しかしそのキム・キドク監督の最新作「ソマリア」はいただけない。思わせ振りで気取っているだけ。中身は虚ろ。これは屑だ。援助交際を題材にしていることになっているが、その問題についての製作者の態度が曖昧なまま焦点はぼやけ、物語は迷走していく。登場人物達の行動理念もさっぱり分からず「どう、俺の映画って時代の最先端を走っていて格好いいだろ?」という監督の自惚れ(惚け)だけが空しく残る。

「オペレッタ狸御殿」
評価:D
増村保造と並んで鈴木清順は1960年代の日本映画を代表する映画監督だと信じて疑わない。あの頃の清順映画は本当に凄みがあった。編集のテンポが良くてアヴァンギャルドで正に時代の最先端を突き進んでいた。伝説的カルト映画「殺しの烙印」(1967)を撮って「わけのわからん映画を撮る奴はいらん!」と日活の社長を激怒させ、解雇された事件はいわば清順監督にとって勲章みたいなものだ。しかし・・・である。最新作「オペレッタ狸御殿」を観てズッコケた。これはもう、擁護しようのない代物である。兎に角テンポが悪い。オペレッタなんだから当然唄があるのだが、これが間延びしてしまう。清順さんにミュージカル映画は似合わない。物語も編集も音楽も、そしてチャン・ツィイーが喋る日本語もみんな緩い。ユルユルである。映画を観ている最中、何度も睡魔に襲われた。「殺しの烙印」の続編とも言える前作「ピストルオペラ」(2001)で清順さんの復調を肌で感じただけに、落胆も大きい。願わくはこれが清順さんの遺作になりませんように!


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雅哉 [MAIL] [HOMEPAGE]