2005年05月22日(日) |
秀逸なファンタジー<レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語> |
「指輪物語」「ハリー・ポッター」「ナルニア国ものがたり」などファンタジー小説が次々と映画化される中、また新たな逸品がそこに加わった。
「レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語」の評価はB+である。子供達に夢を与えるだけが児童文学の使命ではなく、例えば「グリム童話」のように、世の中には残酷な事が待ち受けており、多々の苦難を乗り越えていかなければならない時があるということを教え、その心構えをさせることも重要な役目なのだと想う。そういう意味でこの物語に共感したし、児童文学とはやがて死んでゆく大人達が、未来に生きてゆく子供達にその想い・願いを託すものであるということを切実に感じた。
アカデミー賞を受賞したメイクアップも実に素晴らしいのだが、特筆すべきは撮影・美術・衣装のセンスの良さだろう。まるでティム・バートンみたいな世界を構築しているなぁと感心していたら、なんとアルフォンソ・キュアロン監督(「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「天国の口、終わりの楽園。」「リトル・プリンセス」)の朋友、撮影監督のエマニエル・ルベツキをはじめ、美術監督も衣装デザインも「スリーピー・ホロウ」のスタッフだそうだからそれで頷けた。
エンドロールの切り絵アニメーションも秀逸。
役者について言えばジム・キャリーは「トルーマン・ショー」でまさかのアカデミー賞ノミネート漏れのショックから立ち直り、もう開き直ったと言っても良いくらいのはじけっぷりで清々しい。相変わらず見事なのはメリル・ストリープの怪演っぷり。実に愉しそうに演じている姿が微笑ましい。ストリープといえばエミー賞やゴールデングローブ賞を受賞したテレビ・ミニ・シリーズ「エンジェルズ イン アメリカ」(2003)での一人四役も圧巻だった。これは監督が「卒業」「クローサー」のマイク・ニコルズで、内容的にも充実しており必見。
そうそう、ヴァイオレット役を演じた撮影当時15歳の少女、エミリー・ブラウニングがとても可愛かったことを最後に付け加えておく。
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