2005年05月15日(日) |
こいつぁシュールだ。 <真夜中の弥次さん喜多さん> |
クドカンこと宮藤官九朗がとてつもない才能のシナリオライターだと知ったのは映画「GO」。そしてそのことを再度確認したのが「ピンポン」である。クドカンはもともと舞台の人で、同じく演劇界出身の三谷幸喜がその才能に激しく嫉妬心を燃やしていることも後に知った。ふたつの映画はどちらも原作付きの脚色だが、クドカンのオリジナル脚本も面白いと知ったのが「木更津キャッツアイ」である。
しかし、「ゼブラーマン」や村上龍原作の「69〜シックスティ・ナイン」あたりからクドカン・ワールドに限界を感じてきたのも確かである。クドカンが面白いと感じるギャグやキャラクターの設定、プロットの立て方などのパターンが見えてきて、正直飽きてきたんだよね。
だからしりあがり寿の漫画「真夜中の弥次さん喜多さん」をクドカンが脚色し、監督デビューを果たすと聞いても、あまり食指が動かなかった。ところが、である。
この破天荒なパワーにただただ圧倒された。わけわかんないけれどすこぶる面白い。実にシュールである。その前衛的な描写はルイス・ブニュエルと サルヴァドール・ダリが組んだ「アンダルシアの犬」に匹敵すると言っても過言ではない。いや、コメディだし何に一番近いかと言えば「エターナル・サンシャイン」や「アダプテーション」のチャーリー・カウフマン脚本作品かも知れない。特に荒川良々が増殖して画面を埋め尽くす場面なんてまるで「マルコビッチの穴」みたいだった。巨大な荒川良々が涙を流しそれが滝になっている場面も超クール。唖然とした。荒川良々が夢に出てきそう。ミュージカル仕立てなのも愉しい。これは必見。評価はB+。
弥次さんと喜多さんはお伊勢参りを目指して旅に出るのだが、結局伊勢にたどり着く前に映画が終わってしまうのも凄い。つまり物語は結末を迎えないのである。さて、この続きは撮られるのだろうか・・・
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